L.v.ベートーヴェン 交響曲第7番 イ長調

指揮フリッツ・ライナー
演奏シカゴ交響楽団
録音1956年
カップリングベートーヴェン 「コリオラン」序曲
ベートーヴェン 「フィデリオ」序曲
販売新星堂
CD番号SRC-6


このCDを聴いた感想です。


 ライナーの演奏というのは、インテンポで音楽を進め、音のキレの良さで聴かせるというイメージがありますが、この交響曲第7番は、そんなイメージにピッタリ合っています。

 順に見ていきますと、まず第1楽章では、アレグロに入ってからが、とても躍動感溢れる演奏です。
 ライナーも第5番の演奏ではかなり筋肉質でゴツゴツしていて彩りに乏しいのですが、この第7番では、曲調の違いもあって華やかさがあり、しかもアンサンブル自体は締まっていて、テンポの伸び縮みも一切行わないため、聴いていてとっても清々しい気分になります。

 第2楽章もテンポはかなり速めで、途中で多少伸び縮みすることはあっても、流れを大きく遮るようなテンポの変更はしていません。
 そのため、あんまり情感たっぷりという訳ではないのですが、感情に流されないスッキリとした演奏です。
 メロディーを歌わせすぎないことで、全体の構成がはっきりわかり、かえって曲の流れがよくつかめます。

 第3楽章は、想像したよりも遅めでオヤッと思います。
 音を短めに切ってはいるのですが、じっくり丁寧にやっているせいかテンポの遅さから来るのか、妙に重く感じます。
 速ければ良いって物じゃありませんが、もうちょっとスマートな方が好きですね。

 そして第4楽章は、これこそライナーの持ち味が一番良く出ています。
 確かにテンポ自体も速いのですが、タイム的には実はワルターと同じで、ずば抜けて速いというほどではありません。
 さらに、迫力の面でも、トスカニーニやフルトヴェングラーのように圧倒するものがあるかというと……それほどでもないのです。
 それじゃ、一体どこが良いのかといいますと……音のキレが最高に良いのです。
 とにかく、音を短く切る、切る、切る! しかも音楽の流れも全く不自然じゃないのです。
 もう、頭の管打楽器の16分音符の3つの音からして、固くそれでいて活き活きとした躍動感に充ちた音なのです。しかもちょっと詰まり気味になっているところが、それをさらに強めています。
 決して勢いに任せた演奏ではなく、かなりコントロールされた演奏なので、ピアノとフォルテの差が大きく、特にアクセントを決めた後でピアノに落とす部分は何べん聴いてもゾクゾクします。
 わたしは、この第4楽章を聴いてライナーが好きになったのです。
 これから、ライナーの演奏でどれだけスカをつかまされても、この第4楽章があるかぎり、「ライナーは凄い指揮者だ」という思いは変わらないでしょう。

 録音は、ステレオ初期ですが、かなり良いほうではないかと思います。
 特に音の拡がりと一体感は、当時EMI等のステレオ録音と較べると格段に良いと思います。(2000/9/14)


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