L.v.ベートーヴェン 交響曲第6番 ヘ長調<田園>

指揮ヨゼフ・カイルベルト
演奏バンベルク交響楽団
録音1960年代(?)
カップリングベートーヴェン 交響曲第5 番 他
販売TELDEC
CD番号0630-18946-2


このCDを聴いた感想です。


 感心するくらいどっしりとした安定感のある演奏です。

 安定感があるといっても、『鈍重』とは違います。
 確かに一つ一つの音は重く、アクセントにしても「フンッ!」と踏み抜くような長めのアクセントなのですが、テンポ自体は遅くないため、象のような印象はあまり受けません。
 また、音楽の風通しも良いため息苦しさも感じません。これは録音にもよるのでしょうが、楽器間の分離がよく、さらに構成が立体的であるため、空気は網戸を通るように自由に通り抜けられます。

 テンポの面では、一番驚かされるのは第2楽章ではないでしょうか。
 カイルベルトという指揮者のイメージから、「昔風の演奏だろうから、たぶんテンポもかなり遅めなんだろう」程度に考えていました。
 ところが実際に聞いてみると、想像を遥かに越えた快速でした。
 人によっては、この楽章を14分以上かけている指揮者もいるというのに、カイルベルトは12分以内に納まっており、聞いていても確かに「速めだな」と感じられます。
 そうそう、この演奏は楽章の最後にある小鳥の模倣が楽しいのです。
 皆さんもご存知のとおり、第2楽章の最後でフルートとオーボエとクラリネットが小鳥の鳴き声を模写する部分がありますが、この木管楽器の音色が揃いも揃って重いのです。
 オーボエとクラリネットはまだましなのですが、フルートはなまじナイチンゲールを模してるだけに音色が重いとそんな可愛い鳥には聞こえません。
 まるでムクドリのような巨大な鳥を思い浮かべてしまいました(笑)

 このバンベルク響というオーケストラは全体的な音色もやっぱり暗めです。
 さっきのナイチンゲールとは逆に暗めの音色が素晴らしい印象を与えてくれる部分もあります。
 これは好みにもよるのでしょうが、わたしが印象に残ったのはニ箇所あります。
 一つ目が第3楽章のホルンのソロで、深めの音色で音を跳躍していく様は非常に格好良く、ゾクゾクきます。
 そして、もう一箇所は第5楽章の最後です。
 この楽章の最後に、全体でフォルテで演奏する直前に弦楽器だけがsotto voceで主題を演奏する部分があるのですが、この部分の音色といい楽器間のバランスといい、他には無いと思えるくらい調和しています。
 そしてみなぎる緊張感。もう最高です。

 わたしは、カイルベルトの演奏を今回初めて聴いたのですが、この重さはなかなか癖になりそうです(笑)
 とりあえず、ベートーヴェンから揃えてみようかな、と考えています(2001/4/27)


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