L.v.ベートーヴェン 交響曲第5番 ハ短調

指揮ヘンリー・J・ウッド
演奏クイーンズホール管弦楽団
録音1935年4月29・30日
カップリングブラームス ハイドンの主題による変奏曲 他
「THE BEST OF SIR HENRY J.WOOD」の一部
発売DUTTON
CD番号2CDAX 2002


このCDを聴いた感想です。


 指揮者のヘンリー・ウッドは、ある意味ロンドン交響楽団の生みの親といえるかもしれません。
 ロンドン交響楽団は、この指揮者からの締め付けが嫌で、この演奏のオーケストラのクイーンズホール管弦楽団から脱退したメンバーが設立したのですから。
 ……でも、そのくせ後年、ウッドはロンドン交響楽団を指揮しているんですよね。手打ちでもしたのでしょうか?

 それはさておき演奏の方は、男性的な線の太いがっしりしたものです。
 テンポも大体においては一定で、全体としてスッキリとしていながら緊張感は高く保たれています。
 硬めにリズム処理をしている点など、トスカニーニに近いものがあるのですが、妙にロマンチックな空気が入り込んでいます。
 メロディーの歌わせ方も、全体的には抑制の効いたストイックな雰囲気なのに、一部で急にポルタメントに近いような色っぽい歌わせ方をさせてみたり、テンポも一定に進んでいると思ったら、急に突然変異のように遅くなったりするため、まるで近代的なビル街の中に急に農家が現れたような違和感を感じます。
 聴いている方としては、曲が盛り上がっていき、手に力が入ってきたところで、フニャフニャと力が抜けていく思いです。
 とはいえ、別に演奏するの方は、テンポが遅くなったりしたからといって緊張感が抜けてしまうわけではありませんが。

 演奏しているクイーンズホール管弦楽団も、第1楽章の最初の方は、「ちょっとあぶないかな」と思わないでもなかったのですが、それ以降はアンサンブルも安定していて、なかなか技術の高いオーケストラだと思います。

 録音は、DUTTONお得意の響きを付加した復刻でとても聴きやすくなっています。
 また、1935年の録音としては細部まで鮮明に聞こえるほうでしょう。
 ただ、響きが加わっている分だけ、低音が若干ぼやけてしまっていますが、これはまあしょうがないところでしょう。(2001/9/7)


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