指揮 | オットー・クレンペラー |
演奏 | ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 |
録音 | 1968年5月25日 |
カップリング | シューベルト 交響曲第8番<未完成> |
販売 | Polydor(Grammophon) |
CD番号 | 435 327-2 |
厳しい…厳しすぎる… 以上がこの演奏を聴いたときの第一印象です。 この演奏は、ゆっくりとしたテンポですが、全く弛緩したところがありません。 一音一音にエネルギーを注ぎ込んでいます。 しかもそれは、溢れ出すような情熱的なものではなく、内に内に凝縮して行き、まるで結晶を作っているかのようです。 そのかわり、メンゲルベルクや他の指揮者の演奏に見られるようなメロディーを思いっきり歌わせるなんてことはしていません。あくまでも緊張感を保つことを優先しています。 また、ちょっと変わった特徴としては、第1楽章で展開部に入ってから58小節目の低音部が(C---A-Fis-D-C-A-)と4分音符で("-"1つが8分音符と考えてください)低い音に下がって行き、木管と弦が上昇音型をつくる部分で、下降音型に合わせて音を小さくして行き、上昇音型に従って元の大きさに戻して行っています。(楽譜(1)に赤で書いたデクレッシェンド・クレッシェンド通りのダイナミクスです) ![]() クレンペラーのこの曲の演奏はスタジオ録音を含めかなり出ていると思いますが、わたしはこの演奏しか聴いたことが無いため、いつもやっていることなのか、それともこの時限りだったのかはちょっとわかりません。 ただし、他の指揮者でこういう演奏方法をしているCDは見たことがありません。追記 はじめにちょっと書きましたが、この演奏とにかく時間がかかっています。 繰り返しを全てやっているせいもあるのですが、<未完成>とのカップリングなのに70分近くかかっています。 同じ、第5番を演奏しているトスカニーニは<Eroica>とのカップリングで80分弱です。 <未完成>は普通に演奏すれば30分以内で<Eroica>は50分以上かかるのに、トータルで10分以内の差しかないとは……(1999/11/10) 追記 その後、トスカニーニの演奏は同様の解釈をしていることを発見しました。 また、楽譜を掲載した事により、文章を一部修正しました。(2001/12/26) |