指揮 | アルトゥーロ・トスカニーニ |
演奏 | NBC交響楽団 |
録音 | 1939年10月28日 |
カップリング | ベートーヴェン 交響曲第5番 |
販売 | Music&Arts |
CD番号 | ATRA-684 |
スピード感あふれる演奏……ではなく、パンチが効いた演奏です。 どういうことかといいますと、確かに速いテンポでグングン突き進んでいくのですが、あまりにもアクセントが激しいので、スマートな印象は全く受けないのです。 このアクセントの激しさは、ほとんど暴力的といっていいほど強烈なものですが、決して荒っぽいわけではなく、非常に筋肉質なもので、プロボクサーが放つストレートといった感があります。 これで、pとfの差が激しいものですから、思いっきり引き付けておいて体重の乗ったパンチを食らうような圧倒的な衝撃を受けます。 また、それに加えてキレのよさは抜群で、音を短めに切り、メロディーだろうが何だろうが、気持ちがいいぐらいスッパリと叩き切ってくれます。 ただ、さすがにトスカニーニの持ち味の一つであるカンタービレという面は少し薄くなっているように聴こえます。 でも、いいんです。これほど爽快な演奏は他にありませんから(笑) もう、夜もグッスリといった感じです。あっ、興奮して逆に眠れないかも。 この特徴……いや特長は、もちろん第1、第3、第4楽章に顕著に表れているのですが、第2楽章も葬送行進曲にはとても聴こえません。 これは、演奏や音色が葬送行進曲とは思えないくらい明るいとかそういった意味ではありません。 悲しいとか暗いとかいう感傷とは無縁の世界なのです。 決して感情に流されず、楽譜から導き出される音楽だけを聴かせてくれます。 また、そのままだと機械的になりがちなのを、この楽章だけは、テンポを揺らしてうまく味をつけています。 録音の方は、30年代のライブにしては、かなりクリアーな方だと思います。特に、ダイナミクスの幅が広いところが、トスカニーニの演奏を聴く際にはうれしいところです。これもさすがアメリカの技術といったところでしょうか?(笑) ちなみに、以前クレンペラーの指揮する交響曲第5番の最後に書いた第5番と第3番の両方が入って80分以内というのが、このCDです。 いかにこの演奏が快速か想像できると思います。(2000/7/21) |