L.v.ベートーヴェン 弦楽四重奏曲第1番 ヘ長調

演奏アルバン・ベルク弦楽四重奏団
録音1980年6月
カップリング弦楽四重奏曲第2番 他
「弦楽四重奏曲全集」の一部
発売EMI
CD番号5 73606 2


このCDを聴いた感想です。


 わたしは大きな編成の曲が好きで、クラシックをよく聴くといいつつ、ほとんどは交響曲や協奏曲のような管弦楽曲や、大規模な宗教曲ばかりで、ジャンルは大きく偏っています。
 つまり、小規模な室内楽曲や器楽曲、歌曲といった辺りがほぼ全滅でした。
 さすがに、これではイカンと思い、少しずつ室内楽曲を聴き始め、そろそろベートーヴェンの弦楽四重奏曲に挑戦してみようかと考えていました。
 そんな折、CD店に寄って、目に留まったのがこのセットです。EMIのいわゆるクリスマス・ボックスなどと呼ばれている紙箱に紙ジャケットで多くのCDが詰め込まれているもので、全集でもそこそこ手頃な価格で手に入ります。
 演奏している団体も、たまたまアルバン・ベルク四重奏団だっただけで、わざわざ演奏者を選んで買ったわけではありません。たしかに、弦楽四重奏団名に疎いわたしですら名前を聞いたことがあるぐらいだから著名な団体ですし、演奏レベルは水準以上だろうとは予想していました。しかし、この四重奏団がどんな特長があるかは全く知りません。そういう意味では、演奏者による先入観なしに、曲を聴くことができたと思います。
 そして、ベートーヴェンの弦楽四重奏曲を聴いてみて、まず気に入ったのが第1番でした。
 最初に聴いたというのもあるのでしょうが、明るくはつらつとしていて、楽しめました。第1楽章の冒頭の主題なども、短いフレーズがキレ良くまとまっていて、そこから低音部、高音部、中音部とさまざまに展開されていく様子は、大編成の管弦楽曲に全く引けをとらないスケールの大きさを感じます。
 第1番に限ったことではありませんが、四重奏というと、たった四人ですから、イメージとしてはこじんまりまとまっている一方で、少人数ならではの緊張感の高さとか澄んだ穏やかな響きとかを想像していたのですが、いざ聴いてみると、印象は大きく異なりました。緊張感の高さは、たしかに予想通り高かったのですが、全然小さくまとまっていません。わたしの聞く音量が大きすぎたり、ベートーヴェンだからというのもあるのかもしれませんが、力強さや迫力は、予想を遥かに上回っていました。大編成の演奏が全体の数の力で迫力を出しているのに対して、四重奏曲では、個々の演奏者の力がストレートに伝わってきて、身近に感じる分、迫力という点ではほぼ対等に聞こえます。逆に透明感という点では、個々の存在感を消せる大編成の方が、むしろ高く感じたぐらいです。
 意外なほどの迫力に驚かされるとともに、弦楽四重奏ならではと感じたのが音色の均一性です。
 もちろん弦楽四重奏に限らず金管アンサンブルなどにも当てはまるのでしょうが、主題がだんだん展開して音楽が進んでいっても、そこに連続した統一性が感じられます。
 さらに、音色は統一されていながら、人数が少ないため、音楽が明快で、あっという間に展開が変わっていくなど流動性があります。このフットワークの軽さは、なるほど少人数のアンサンブルならではだと納得しました。
 アルバン・ベルク弦楽四重奏団の演奏は、なにせ他の演奏を聴いたことが無いので較べられないのですが、スピード感があり、メロディーを歌わせるというよりも、明快さとキレの良さが印象に残りました。(2007/11/17)


サイトのTopへ戻る