L.V.ベートーヴェン 「レオノーレ」序曲 第1番

指揮ウィレム・メンゲルベルク
演奏アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団
録音1931年6月2日
発売及び
CD番号
Pearl(GEMM CDS 9018)
Refrain(PMCD-3)
東芝EMI(TOCE-8191〜99)
SYMPOSIUM(1078)
NAXOS(8.110864)


このCDを聴いた感想です。


『レオノーレ序曲』と名前のつく曲はは第1番から第3番まで3曲ありますが、実は作曲された順番は第2番が最初で、次が第3番、最後が第1番なのです。
 もっともその後に、『フィデリオ序曲』が作られ、結局それが歌劇「フィデリオ」の正式な序曲となったわけで、正式採用されなかったという点ではどれも同じ立場ともいえますが。
 一番有名な第3番は最初に作曲された第2番を改良したものなので、この2曲は非常に良く似ています。わたしなんか初めて第2番を聞いた時には、第3番のパロディーか何かかと一瞬考えてしまったほどです。
 それに対して第1番はどうやら全く新たに書かれた曲のようで、メロディーから何まで全く別の曲です。唯一共通しているのは、最初が同じ和音でジャーンと鳴って始まるところぐらいでしょうか。
 メンゲルベルクは、レオノーレ序曲を第1番と第3番だけ録音していて第2番がありませんが、たしかに3曲のうち2曲しか録音できないとすれば、どうしても第2番が省かれてしまうでしょう。内容的に劣っているとは思えませんが、第3番とかなり共通していますし、知名度からするとどうしても第3番の方になります。

 さて、メンゲルベルクの演奏についてです。
 キレの良い音と、それが全体とバランスよくまとまった一体感、この二つが大きな魅力です。
 あまりテンポを揺らさず、メロディーなども軽快にリズムを刻みながら真っ直ぐに伸びていきます。スラーとスタッカートなどの違いもかなりハッキリついていているためリズムが際立ち、背筋をピンと伸ばして姿勢正しくしているような印象を受けます。
 前に進む力が強いところはトスカニーニと同じ傾向ですが、スフォルツァンドなどはずいぶん軽めです。力を込めて重くというより、硬くはたくようなスピード感あるもので、スフォルツァンドだけ妙に突出してしまわずに、音楽の軽快な流れの一部としてきれいに調和して収まっています。
 全体の響きは、録音が古いだけにどこまで聞き取れているかは怪しいのですが、おそらく大編成らしく、厚い響きです。しかし、明るく風通しも良いため威圧的ではありません。フォルテの部分などでは全体が力強く音楽をどんどん高揚させていき、大いに盛り上がりますが、あくまでも明るく楽しげなのです。たしかに聞く者を圧倒するような迫力とか息詰まるような緊張感には欠けるものの、開放的でいかにも屈託の無い爛漫な雰囲気はこの演奏ならではのものです。(2005/11/19)


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