L.v.ベートーヴェン 「コリオラン」序曲

指揮オットー・クレンペラー
演奏ベルリン国立歌劇場管弦楽団
録音1927年
カップリングモーツァルト 3つのドイツ舞曲K600 他
「Centenary Collection EARLY ORCHESTRAL RECORDINGS」の一部
発売Grammophon
CD番号459 001-2


このCDを聴いた感想です。


 若い頃のクレンペラーらしく速いテンポで突き進みながら、そこに力が感じられる演奏です。
 クレンペラーのコリオランの演奏はかなり多いらしく、わたしも全部で何種類ぐらいあるかは良く知りません。とりあえず手元にはこの演奏を含め3枚あり、他の2枚は、それぞれ1957年のフィルハーモニア管とのスタジオ録音、1963年のウィーン響とのライブ録音と、どちらも戦後の録音です。
 晩年のクレンペラーといえば、しばしば遅いテンポをとることで知られていますが、その2種類の録音はそこまでではなく、双方とも演奏時間は8分前後と、やや遅めではあるものの、他の指揮者の演奏では10分近いのがあることを考えると、まあ中庸といったところでしょう。
 一方、1927年の録音は、後年の2種類と較べると、これは明らかに速く、7分強しかかかっていません。7分を切ってくるライナーの演奏には負けますが、それでも最速の部類に入ります。
 当然、快速なテンポで直線的に進むわけですが、ただ速いだけでなく、力強く迫力があります。
 これはオーケストラの力が大きいのかもしれませんが、響きに厚みがあり、さらに重心が低くどっしりとしているため、非常に堂々として聞こえるのです。
 もう冒頭の長いユニゾンの音と、それに続くフォルティッシモの全合奏を聴いただけですぐに分かります。
 1927年の録音ですから、録音状態はかなり厳しいはずなのに、それをものともせず、まず下から掘り起こすような重みの乗ったユニゾンが鳴り、フォルティッシモの和音は、まさにピラミッド型に、太い低い音を土台に積み上がっています。フォルティッシモの和音は、何回か繰り返されますが、それが繰り返されるたびに、ピラミッドの高さが一段ずつ高くなるのが手に取るように分かります。バベルの塔でもないですが、なんだか少しずつ天に近づいていくかのようです。
 内声の充実度合いは、さすがに録音技術やクレンペラー本人の円熟度もあり、後年の録音ほどではないものの、2ndヴァイオリン以下の8分音符で細かくチョコチョコ動く動きなどを、音をしっかりと分けて演奏させることで、音楽のフォルムを明確に保っている辺りは、ああたしかにクレンペラーの演奏だなとおもわず納得しました。
 これで録音状態がよければ、なお良いのですが、これは1927年という事を考えれば、まあ仕方の無いところでしょう。それでも、ほぼ同年代(1926年)のメンゲルベルクの録音と較べても遜色なく、悪い方ではないと思います。
 ところで、どうでも良いといえばどうでも良いのですが、このCDは輸入盤で、演奏団体の表記は「Orchester der Staatsoper Berlin」となっています。ところが同じCDに収録されているケンペンの指揮した「ウィンザーの陽気な女房たち」序曲の表記は「Staatskapelle Berlin」となっていて、明らかに区別してあります。
 「Staats」と表記してあるので、どちらも国立(州立)歌劇場管で間違いないと思いますが、なぜわざわざ別の表記にしているのかがわかりません。二つの演奏で異なるのは、クレンペラーの録音が1927年でケンペンの録音が1939年というところぐらいなので、もしかしたら「ハーグ・レジデンティ・オーケストラ」と「ハーグ・フィル」のように別名称なのか、あるいは「ベルリン市立歌劇場」と「ベルリン・ドイツ・オペラ」のように改称したのでしょうかね。ざっと調べた限りでは明確な資料が発見できず、結局よくわからないままになっています。(2010/3/6)


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