L.v.ベートーヴェン 「コリオラン」序曲

指揮ジョン・バルビローリ
演奏ニューヨーク・フィルハーモニック交響楽団
録音1937年12月19日
カップリングモーツァルト 交響曲第33番 他
発売DUTTON
CD番号CDSJB 1011


このCDを聴いた感想です。


 鋭く刻み込んでいく演奏です。
 音の頭のアタックがまるで金属のように硬く、それを一つ一つの音に力を込めて叩きつけています。
 その硬いアタックは、金属同士をぶつけたようにカーンと跳ね返るのではなく、斧を木の幹に叩き込んだように、切れ味鋭く、さらにズシリと重みを載せて刻み込まれていきます。
 音楽もかなり直線的で、トスカニーニを思い出させるような、まっすぐな強いラインが真ん中にあり、それに沿って、ぐんぐん突き進んでいきます。テンポ良くキレもあり、聴いていて気持ちよい引き締まった演奏です。
 また、演奏しているのがニューヨーク・フィルだからなのかはわかりませんが、異常なほどパワーがあります。その力強い音を、コリオラン序曲によく登場する全休止の後のフォルテの長い伸ばしの音などでは、真正面から全力で叩きつけています。剣道だったら面ごと叩き割られそうなおそろしいまでの迫力です。
 さらに、フルパワーで音をぶつけているのにもかかわらず、ほとんど響きに濁りがありません。
 たいてい、フルパワーで演奏していたら、どこかでコントロールが効かなくなる部分が出て、響きが粗くなるものですが、そういう点が、ほとんど見られないのです。
 強く硬質な音ながら、クリアで、アンサンブルも締まっています。ということは、もしかしたらフルパワーのように聞こえても、まだ8分目なのかもしれません。迫力や緊張感からすると、他の演奏と同等かそれ以上のパワーが感じられるのですが。
 そもそも、ライブのはずなのにアンサンブルの乱れもほとんどありません。
 冒頭こそ、音の出に少しずれが出ていますが、大きな乱れはそこぐらいで、後は、2、3箇所、音を間違えたのではないかと思える部分があるくらいで、ほぼ全曲にわたってピタッと揃っています。
 1937年と古い録音で、しかもライブですが、雑音は少なく、さらに、これはDUTTONの復刻の特徴でもありますが、響きに厚みがあるため、録音年代の割には、かなり聴き易い録音だと思います。(2008/10/25)


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