L.M.ゴットシャルク(ゴッチョーク) バレエ音楽「ケークウォーク」より抜粋

編曲 : H.カイ(ケイ)

指揮エリック・カンゼル
演奏シンシナティ・ポップス・オーケストラ
録音1985年9月17日、1986年5月11日・9月16日、1987年5月10日・9月15日・11月23日
カップリングJ.ウィリアムズ 「リバティ・ファンファーレ」 他
「アメリカン・ジュビリー」の一部
発売日本フォノグラム(TELARC)
CD番号32CD-80144(CD-80144)


このCDを聴いた感想です。


 予めお断りしておきますが、タイトルの「ケークウォーク」というのは、編曲者のカイがつけたもので、ゴットシャルクがつけたものではありません。
 さらにバレエ音楽としてまとめたのもカイで、ゴットシャルクの原曲はピアノ曲です。
 このバレエ音楽自体が、全部で何曲あるかはわからなかったのですが、このCDにはその中の3曲『グランド・ウォークアラウンド』『ウォールフラワー・ワルツ』『ガラ・ケークウォーク』がピックアップされています。
 ちなみにこの個別の題名も、どうやらゴットシャルクがつけた名前ではなく、カイがつけたもので、それぞれの本来の題名は、
『グランド・ウォークアラウンド』は、『バンブーラ(Bamboula)』
『ウォールフラワー・ワルツ』は、『きれいな花を買ってください(Won't You Buy Me Pretty Flowers)』
『ガラ・ケークウォーク』は、『パスキナード(Pasquinade)』
 となっています。
 この3曲の中で、1曲目の『グランド・ウォークアラウンド』は特に有名なようで、これだけ単独で演奏されているCDもあります。

 さて、前置きが長くなってしまいましたが、曲についての印象としては、『ああ、いかにもアメリカらしい曲だな』と感じました。
『アメリカらしい』とは、また漠然とした印象だな、と思われるでしょうが、わたしの感じたアメリカらしさとは、決してニューヨーク等の大都市に代表されるような機能性や、大平原を思わせるような雄大さではありません。
 南部、しかもトム・ソーヤの冒険の舞台ような、ミシシッピ川沿いを連想させる、明るさとウェットな哀愁が同居した雰囲気です。
 おそらくラテン音楽の影響を大きく受けているのでしょう、ちょっと斜めに崩した感じが、暑い時にシャツの襟元を開けて涼しくしたような開放感があります。
 実際、この3曲には暑さが感じられます。
 それも、砂漠のようなカラカラの乾燥した暑さではなく、熱帯雨林のようなジメッとした湿度の高い暑さです。
 しかも、暑くてもそれが熱帯夜みたいな苦しさにはつながっていません。
 日向は暑いから木陰に入って冷たいものでも飲んで休もうよ、とばかりに、気楽でのんびりとしています。
 悩む事なんて何一つ無い、楽しくやろうよ。という、楽観的な雰囲気なのですが、ただ脳天気に明るいのではなく、地面にしっかりと足をつけているというか、日々の生活の中に幸せがあるような現実感があります。
 こういう雰囲気を感じさせてくれる曲は、アメリカ音楽の中でも意外と少なく、このCDには、ゴットシャルク以外にもアメリカの軽めの音楽がいろいろ集められているのですが、ゴットシャルクは他の曲とは明らかに雰囲気が異なっています。
 他の曲は、いくら明るく華やかでも、どこかピシッと姿勢を正したような硬さというか真っ当さがあるのに対して、ゴットシャルクだけは、明るい中にもどこかだらけていて、完全にリラックスした楽しさがあります。
 わたしは、こういう楽しい曲も大好きです。

 補足:文中では作曲者名は『ゴットシャルク』で統一しましたが、現在では『ゴッチョーク』と表記する方が一般的かもしれません。(2003/5/24)