J.W.ヴィルムス 交響曲 ニ長調 op.52

指揮アンソニー・ホールステッド
演奏オランダ放送室内管弦楽団
録音2002年6月
カップリングヴィルムス 交響曲 ハ短調 op.23 他
発売Challenge Classics
CD番号CC72147


このCDを聴いた感想です。


 ヴィルムス(ウィルムス)という作曲家は、わたしは全く名前も聞いたことが無く、ただオランダの作曲家らしいという点だけでこのCDを購入しました。
 で、聴いてみて真っ先に頭に浮かんだのは、
「これって、ハイドン?」
 という感想でした。
 CDには、この作品番号52番のニ長調を含めて交響曲が4曲と管弦楽曲が1曲収録されていますが、ことごとく古典派ど真ん中という作風です。
 わたしも古典派の曲にそれほど詳しいわけではなく、知っているのはハイドンとモーツァルトとベートーヴェンの初期の頃の作品と他少々ぐらいですが、その中で、モーツァルトよりもベートーヴェンよりも、なによりハイドンに最も近い印象を受けました。
 全体的にきっちりまとまっていて、そつが無く、悪く言えば突き抜けたところがありません。モーツァルトのような優美でそれでいてハッと驚かされるような斬新な曲風ではありませんし、ベートーヴェンほど力強くもありません。しかし、綿密に計算された設計図をもとに忠実に建設された精度の高い建築物のように、フォルムが惚れ惚れするほど美しく、精緻に仕上がっています。特にこの曲は、しっかりとしていながら伸び伸びとした健康的な明るさがあり、この辺りがハイドンを連想させます。
 演奏時間は、交響曲であればどの曲も30分程度で、拡大版ハイドンといったところでしょうか。まあ、ハイドンでも後期の曲では30分を超えるものもありますから、拡大版というのも変な表現かもしれません。しかし、ハイドンは長くても小さく凝縮されて密度が濃いイメージがあるのに対して、ヴィルムスは、似たようなフレーズをいろいろ展開して使っているなど、ハイドンをもうちょっと長く引き伸ばしたような感じで、密度は多少薄くなっていますが、その分スケールは大きくなっています。
 こんな風に、曲風がハイドンなどの古典派に似ているのは、実は当然で、ヴィルムスはベートーヴェンの2歳年下の1772年生まれで、ハイドンの一世代下ぐらいの近い年代なのです。生まれは、ケルン近郊なのでおそらくドイツ人なのでしょうが、活躍の場はアムステルダムですから、ほぼオランダの作曲家といって良いでしょう。
 ただ、生まれたのはベートーヴェンの2年後でも、亡くなったのは、1847年と19世紀半ばですから、時代的にはロマン派の時代に足を突っ込んでいるはずですが、ロマン派に大きく踏み出したベートーヴェンと異なり、古典派に留まったようです。
 その点が災いしてか、ヴィルムスは長く忘れられた存在になりました。それでも、近年、コンチェルト・ケルンによる録音などが発売されたことになり、再び脚光を浴び始めているようで、うれしいことです。
 そのコンチェルト・ケルンの演奏は、残念ながら未入手ですが、なんでも「交響曲の世界初録音」という触れ込みだそうです。ただ、その録音は、わたしが調べた限りでは2003年のようで、だとしたら、このホールステッドの録音の方が先になるはずですが、その点はどうなんでしょうね。
 ちなみに、指揮をしているホールステッド(ホルステッドあるいはハルステッド)は、古楽のホルン奏者としても知られていて、ホグウッドの指揮によるナチュラル・ホルンでの協奏曲の録音もあります。(2009/5/9)


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