J.シベリウス 交響曲第5番 変ホ長調

指揮アレキサンダー・ギブソン
演奏ロンドン交響楽団
録音1959年2月
カップリングシベリウス 「カレリア」組曲 他
発売DECCA
CD番号468 488-2


このCDを聴いた感想です。


 ギブソンのシベリウスというと、後年の1980年代にCHANDOSレーベルにスコティッシュ・ナショナル管と録音した交響曲全集が知られていますが、これはギブソンが30歳を少し超えた程度のまだまだ若い頃にロンドン響と録音した演奏です。
 凍てつく森や湖の広がりをイメージさせるような寂寥感やスケールの大きさは無く、逆にそういったイメージにとらわれずに楽譜を忠実に音にしたような真っ直ぐな演奏です。テンポを動かしたり表現に色気を出したりといったゴテゴテとした小細工をせず、がっしりとした骨太の芯があります。
 メロディーは多少は歌っているのですが表情は控えめで、むしろリズムのはっきりしたところの方が印象に残りました。決して目立たせようと強調しているわけではありませんが、硬くしっかりとしていて、音楽を厳しく引き締めています。
 この演奏で、もう一つ印象に残ったのが音色です。
 個々の楽器がどうこうというより、全体の響きが淡いモノトーンなのです。
 明るい部分でも、情熱的な赤味や輝かしい黄色はほとんどなく、白い明るさです。その白さもツヤ消しをして反射を抑えた、彩りを感じさせない白さです。曲の中には、トランペットのフォルテの部分など、実はファンファーレっぽい派手な動きも多く、ロンドン響の金管ですから輝かしく吹き鳴らしそうなものですが、そうでもありません。力強さはあり、音量のバランスとしてもしっかり出ていますが、意外と彩りは控えめで全体の雰囲気に合わせています。
 彩度を薄くしたグレートーンで、さらに白と黒も極端に差をつけていません。暗い部分は黒っぽいのですが、漆黒というような深い黒さではなく、あくまでも灰色の延長で、浅く淡いものです。
 ただ、念のために書いておきますが、トーンが淡いからといって大人しい演奏ではなく、むしろ逆に鋭く出るべきところは力強くちゃんと出ています。色合いだけがモノトーンなのです。
 そして、この浅く淡く彩りの無い響きが、わたしにはこの曲によく合っていると感じられました。
 寂寥感というほどではありませんが、直線的な演奏では熱っぽくなりかねないところをほどよく冷やして落ち着かせており、北欧っぽくクールな雰囲気を出しています。

 録音状態は、もうちょっとといったところでしょうか。
 1950年代後半とはいえDECCAですから、ステレオですしそれほど悪くはないのですが、フォルテで音が少し割れ気味になるのが惜しいところです。(2005/6/11)


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