J.シベリウス 交響曲第2番 ニ長調

指揮セルゲイ・クーセヴィツキー
演奏ボストン交響楽団
録音1935年1月24日
カップリングシベリウス 交響曲第5番 他
「Koussevitzky conducts Sibelius」の一部
発売Pearl(HMV)
CD番号GEMM CDS 9408


このCDを聴いた感想です。


 オーマンディと並んで、作曲者自身から絶賛されたクーセヴィツキーのシベリウスです。
 ただ、わたしがシベリウスと言われた時にイメージする、暗く閉ざされた冬の寂寥感といったものはあまり感じられません。
 まあ、もともとこの交響曲第2番という曲自体、シベリウスの中で最も華やかな曲の一つではありますが、クーセヴィツキーの演奏は、それにも増して激しく情熱的です。
 後ろ向きの寂しさとは全く対照的な、力強い前向きな演奏で、冬の暗さを吹き飛ばすかのように熱が込められています。
 曲の冒頭で弦楽器がゆったりと伴奏を奏でてオーボエの短く切った音のメロディーを誘う部分も、静かな自然を思い出させるような穏やかさからは遥かに遠く、一気にクレッシェンドしていくところなど、逆に、いよいよ曲が始まるぞという期待感をあおる様な力の入った歌い方で、むしろ興奮してくるぐらいです。
 第2楽章のコントラバスとチェロのピチカートによる伴奏も、強弱の幅が広く取られていて、しかも結構速めのテンポなものですから、わたしがイメージとして描いていた、ほとんど太陽が顔を出さない北欧の冬の昼間でも暗い道をトボトボと歩いている、といった寂しい雰囲気ではなく、ウォーキングでもしているみたいに早足で脇目も振らず歩いているといった活発な雰囲気です。
 第3楽章に至っては、さらに激しさは増していきます。
 といっても、ただ勢いだけで飛ばしていくのではなく、テンポをきっちり保ち、機械のように正確な動きでエネルギーを閉じ込め、高い密度で爆発させています。
 さらに、速い動きのために音があまり長く伸ばせないという制約が無くなる第4楽章ともなると、エネルギーは一気に解放され、奔流となって一面に広がっていきます。
 第4楽章冒頭の弦楽器のメロディーやそれに続くトランペットの合いの手など、音の長さを十分生かして一音ずつ力を込めた輝かしい音色で、その熱気を帯びた響きは、まるで冬から一気に夏になったかのようです。
 おそらく、シベリウスの第2番の演奏の中でも、情熱を込めている点では随一の演奏だと思いますが、シベリウスの音楽というよりも、どちらかというとクーセヴィツキーの音楽という印象の方が強く感じられます。
 ただ、クーセヴィツキーは楽譜をいじったりテンポを勝手に動かしたりはしておらず、その点では非常に標準的で、指揮者の意志が演奏に強く反映されている割にはあまり古さは感じません。聴く時に引っかかりそうな変な癖もありませんし、意外と聴きやすい方ではないかと思います。

 録音も年代の割には優秀な方ではないでしょうか。
 たしかに、スタジオ録音とはいえさすがに1935年は古く、雑音があちこちに入り、響きも豊かとは言えませんが、音は割れていませんし、かなり細かい動きまで聞き取ることができます。(2005/2/5)


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