J.シベリウス 交響詩「フィンランディア」

指揮エドゥアルト・ヴァン・ベイヌム
演奏アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団
録音1957年6月
カップリングシベリウス エン・サガ 他
発売ユニバーサルミュージック(DECCA)
CD番号UCCD-3526(476 9425)


このCDを聴いた感想です。


 ヴァン・ベイヌムってこういう曲も録音していたのですね。まずそこに驚きました。
 ヴァン・ベイヌムのシベリウスは、以前、「エン・サガ(伝説)」がCDになっていたのは知っていましたが、他にも録音があるとは思ってもみませんでした。今回のCDの帯の説明によると、全4曲の中で、エン・サガ以外の3曲中、フィンランディア以外の2曲は世界初CD化で、フィンランディアは国内初CD化なのだそうです。ということは、フィンランディアは以前、輸入盤としてはCDになっているはずです。しかし全く見たことがありません。いったいいつCDになっていたのでしょうか。
 さて、演奏の方ですが、なんとも力の入った演奏です。
 弱いピアノの部分でも、音量は小さいながらまるでフォルテのような力強さがあります。
 ただ、力強いといっても、「立派」とか「堂々としている」といった雰囲気とは少し違います。
 響きがそびえ立つように厚いといった構造的な迫力ではなく、メロディーの歌いこみに力が入っていて、動きに感情を揺さぶるような大きな力を感じます。
 特に、弦楽器は歌が粘り強く、迫力がありました。
 冒頭の、暗い部分も押し出しがよくグンと迫ってくるようであり、後半のよく合唱がつく穏やかな歌の部分でさえ、少し表情を付けすぎではないかと思えるほど、力を入れてじっくりと歌いこんでいます。
 そもそもフィンランディアという曲は、ロシアの圧政に耐えていたフィンランドの民がついに立ち上がり勝利に至るというストーリーですが、あまりにも力強すぎて、ロシアの圧力なんて小指一本ほどで弾き返し、むしろフィンランドの方が強大な国のように思えてくるほどです。
 弦楽器がそれだけ粘り強く力が入っている一方で、金管楽器、特にトランペットは妙に硬い音を出しています。
 弦楽器の湿度の高さとは対照的にむしろ乾き気味の音で、弦と管とで全然別世界の音楽のようです。
 前半の、速いテンポでまだ短調の部分で登場する金管のファンファーレ風に同じ音でリズムだけの動きなどは、弦楽器がロシアを対抗すべく頑張っているのを景気付けるという感じではなく、まるで地上の人々と何の関係もなく上空で雷が鳴っているみたいです。
 いや、金管はバランスもけっこう強いため、下手すると、弦楽器、つまりフィンランドの味方ではなく、逆にロシアの方からフィンランドを押さえつけている力のようなイメージすら感じられます。
 ベルグルンドが指揮した弦と管が一体となった演奏や、イギリスあたりの感情を抑えた美しい演奏とも全く方向の違う、よく揃い力も入っているけどなぜか分裂しているなかなか面白い演奏です。(2006/9/23)


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