J.S.バッハ 「エア」 管弦楽組曲第3番 ニ長調より

編曲:グスタフ・マーラー

指揮ウィレム・メンゲルベルク
演奏ニューヨーク・フィルハーモニック交響楽団
録音1929年1月16日
発売及び
CD番号
Pearl(GEMM CD 9474)


このCDを聴いた感想です。


 そ〜か〜 バッハってポリフォニーじゃなくて、ホモフォニーの音楽だったんだな〜 という気持ちにさせてくれます(笑)

 1stヴァイオリンがメロディーです。
 2nd以下は……完全に伴奏になってます。
 あくまでも1stヴァイオリンがメロディーで主体であり、2nd以下はそれを陰から支える縁の下の力持ちになっていて、4声部は全然対等ではありません。
 バロックの構造的な美しさを究めるというアプローチとは全く正反対の観点からのアプローチであり、後年「G線上のアリア」としてポピュラーになった演奏方法を先取りした……と言えなくも無いんでしょうが、かなり無理がありますね(笑)
 そのかわり、こっちの方面からのアプローチをした演奏としては、究極の演奏と言えるかもしれません。
 とにかく、1stヴァイオリンは装飾過剰と思われるぐらい力が入って歌いこまれており、当然ポルタメントは、いたるところで使われており、1stヴァイオリンのメロディーの効果を高めるためのフレーズの最後でのリタルダンドも当たり前のように大きくかけられます。
 おそらく通常のオーケストラの弦楽部分の人数でやっているでしょうから、ダイナミクスの幅も大きく(……といっても、録音が録音なので、部分的にしか伝わってきませんが)、たっぷり弾き込んでいます。
 聞いた人のほとんどは、あまりの様式の破壊に石を投げたくなってくるでしょうが、聞く人によっては、涙がちょちょ切れるほどの、深く心に残る演奏なのは間違いないでしょう。

 ところで、メンゲルベルクは、バッハの曲は意外と録音を多く残しています。
 管弦楽組曲にしても、第2番は全曲録音していますし、第3番も、録音しているのは、この「エア」だけですが、2回も録音しています。
 この演奏は、第1回目にニューヨーク・フィルハーモニック交響楽団と録音して演奏で、後年、アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団と再録音しています。
 で、この第1回目の方だけ、「マーラー編曲」となっているのですが、実は、わたしにはどこをどう編曲しているのかさっぱりわかりませんでした。
 スコアを見ながら聴いても、さほど違いがあるとは思えませんでしたし、そもそも第2回目の録音と比べても、前半の繰り返しをするかしないかの違いぐらいしかなかったように思えます。
 ちなみに、繰り返しをしないのが当録音で、するのが第2回目です。後半部分の繰り返しは両方ともやっていません。
 まあ、録音が録音ですので、ちゃんと聞き取れなかったという可能性は大いにあり得ますが(笑)

 で、ここからは完全に余談です。
 この「エア」、英語で書くと「Air」ですが、偶然に全く同じ「Air」というゲームを、つい数日前までやっていました。
 本当は昨年9月に発売されていたのですが、いろいろとやるのが先延ばしになってこんな時期になってしまったのです。
 このタイトルの「Air」は、バッハの「Air」とは全く関係なく、単に「空」ぐらいの意味と思います。
 さきほど上の方で、涙がちょちょ切れる演奏と書きましたが、このゲームは本当に涙が出るゲームでした。
 目の中が潤んでくるどころか、涙が頬を伝う感覚というのを久しぶりに感じました。
 ゲームだとわかっていながら、ここまで平常心を保てなかったのは初めてのことです。(2001/2/2)


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