J.S.バッハ 管弦楽組曲 第2番 ロ短調

指揮ウィレム・メンゲルベルク
演奏アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団
録音1931年6月2日
発売及び
CD番号
HISTORY(205254-303)(序曲のみ)
Pearl(GEMM CDS 9018)
東芝EMI(TOCE-8191〜99)
キング(KICC 2056)
NAXOS(8.110880-82)


このCDを聴いた感想です。


 4曲あるバッハの管弦楽組曲の中で、メンゲルベルクが全曲の録音を遺しているのは第2番だけです。他には第3番のAIRが単独で録音されているぐらいです。
 ただ、この第2番については以前感想を書いた1939年のライブ録音と今回取上げる1931年のスタジオ録音の2種類があります。
 1931年と1939年ということは間が8年も離れていて、しかもスタジオ録音とライブですから演奏も大きく変化していそうなものですが、これが驚くほど変わっていません。
 最も差があるのは録音状態じゃないかと思えるほどで、細かい部分では多少違いがあるとしても解釈自体にはほとんど違いがありません。それこそ強いてあげればテンポの伸び縮みがより大げさになったぐらいのわずかな違いです。
 まあ、メンゲルベルクのバッハの演奏スタイルが、そもそも現在の主流からは大きく外れていて、もう「現在ではとてもできないメンゲルベルクのバッハ」ということで別枠……というか隔離枠みたいなものですから、その中で多少の違いがあったとしても五十歩百歩ぐらいにしか思われないでしょうが。
 一応その五十歩百歩の違いを虫眼鏡で大きく拡大してみると、スタジオ録音の方がライブに較べて全体的にスッキリとしています。
 アタックやアクセントも、ライブの方が長く重めなのに対して、スタジオ録音の方はより短めであまり後ろに引っ張らず早めに音を抜いています。
 テンポも、曲の最後で遅くしてもったいつける部分の扱いが、ライブの方がかなり極端に遅くして序曲の最後なんかは半分止まりそうになるほどなのに対して、スタジオ録音では遅くはするのですが前へ進もうとする力がまだ生きています。
 よりドラマチックなのがライブ録音で、硬めでキッチリと演奏しているのがスタジオ録音ということですね。
 ただ、聞いていて最も気になるのは演奏の解釈云々よりも録音状態の差ではないかと思います。
 スタジオ録音は1931年と古い録音ですが、スタジオだけあってか雑音は少なく結構細かい部分まで鮮明に聞こえます。
 しかし、1939年のライブの方は、これはARCHIV DOCUMENTSの復刻ポリシーもあるのでしょうが、雑音が多く、さらに音質が途中で急に変わったりとかなり聞き辛い音です。細かい部分もそれほど鮮明に聞こえるわけでもありません。良い点は、スタジオ録音ではほとんど聞こえなかったチェンバロがそこそこ鮮明に聞き取れるというところぐらいでしょうか。
 やはり、スタジオとライブの細かい違いよりも、現代の演奏とのあまりの違いの方がよほど印象的です。
 戦前の演奏らしく遅いテンポで、さらにここまで整然&堂々としている演奏は同じスタイルが多い戦前でもそうは無いと思います。
 序曲の遅いテンポの部分こそ荘重といった感じですが、速いテンポに入って以降や、他のブーレなどは、テンポ自体は確かに現在よりも遅めながら、音の立ち上がりをハッキリと硬くしているため、意外とテンポ良く進んでいきます。
 またメロディーを歌わせ、曲の最後に向かって次第に盛り上げていくなど、リズムよりもむしろ横の流れを重視した音楽作りはなかなか魅力的です。
 たしかに、メンゲルベルクの演奏としては、チャイコフスキーを演奏する時などとは全く違い、ベートーヴェン辺りよりもさらに一定のテンポを保って、硬く演奏していますが、やはりロマン派的な香りが強く漂う、良くも悪くもメンゲルベルクの個性が大きく看板として掲げられているバッハです。(2006/7/1)


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