J.S.バッハ ブランデンブルク協奏曲 第3番 ト長調

指揮ヘンリー・J・ウッド
演奏ブリティッシュ交響楽団
録音1932年6月16日
カップリングJ.ハイドン 交響曲第45番<告別> 他
「THE BEST OF SIR HENRY J.WOOD」の一部
発売DUTTON
CD番号2CDAX 2002


このCDを聴いた感想です。


 現在主流となっている、古楽器等の合奏団に代表されるような、少人数による細く鋭い緊張感のある引き締まった演奏とはほとんど正反対の、大人数による分厚い響きの演奏です。
 こういうタイプの演奏は、この録音当時ではごく一般的だったのでしょうが、今となっては、すっかり前世紀の遺物的な扱いになってしまいました。
 たしかに、フレーズの最後などのポイントとなる部分でテンポを落として山場をつくる点など、いかにも大時代で、わたし自身はそういうところも好きなのですが、どうしても耐えられない方もきっと多いのではないかと思います。
 しかし、フレーズの最後で大きくテンポを落とす点を除けば、テンポ自体は割と速い速度で安定していて、厚い響きに惑わされないで聴くと、機能性に優れた意外とモダンな演奏である事に気がつきます。
 たしかに響きは厚いのですが、一つ一つの音は短く切っているため、重かったり後ろに引っ張られたりすることなく、音楽が積極的に前へ進んでいるのです。
 特に、第3楽章のアレグロは、スピードに乗っていてメロディーが生き生きと躍動しています。
 指揮者のウッドは、あらえびす氏の著書、「名曲決定盤」の中で、『常識的啓蒙的』と評されていますが、この曲ではその常識的啓蒙的な点がプラスに働いています。
 例えば、フレーズの最後でテンポを緩めても、次のフレーズに入る瞬間にはちゃんと元のテンポに戻っているといったように、ベースとなるテンポは常に一定していて、テンポをいろいろいじったりといったような独自性をむやみに出そうとしないところが、音楽に安定感を与えています。
 それに、なんといっても、フルオーケストラによる合奏の、圧倒的な物量で押し寄せてくる迫力は、他の演奏からはなかなか得られない魅力です。(2003/6/28)


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