J.S.バッハ ブランデンブルク協奏曲 第2番 ヘ長調

指揮ジェイムズ・レヴァイン
独奏トランペット:アドルフ・ハーセス 他
演奏シカゴ交響楽団
録音1977年7月13日
カップリングJ.S.バッハ カンタータ第202番「消えよ、悲しみの影」 他
発売RVC株式会社(RCA)
CD番号R32C-1074


このCDを聴いた感想です。


 ブランデンブルク第2番にはソロ楽器がヴァイオリンなど4パート登場しますが、その中でも最も目立つのはトランペット。トランペットにとっても、花形の一曲です。
 そのトランペットを演奏するのがシカゴ響で50年近くの長きにわたってトップ奏者として君臨してきたアドルフ・ハーセスとくれば、これを聞き逃す手はありません。
 期待に胸躍らせて聴いてみたのですが、驚きました。
 こういう聴く前から大いに期待して聴いた演奏というのは、えてして期待が高すぎて、たとえ水準以上の演奏であっても少なからず物足りないことが多いのですが、この演奏は高い期待よりも遥かに上回っていました。
 バロックですから細かい動きが結構登場しますが、どの動きも滑らかで、ぎこちなさのかけらもありません。高い音から低い音まで均一の音色で、まるでピアノで演奏しているみたいに、平然と音が動いていきます。音がどんなに高く跳躍してもまるで音階を順番に演奏しているようにスムーズに移り、力を入れたり苦しそうな様子が全くありません。本当に簡単な朝飯前のことをやっているみたいに聞こえます。
 そして、なんといっても音色です。
 軽々と動いていますが、音色は意外と軽くはありません。もちろんどっかりと座り込んだような重厚な音ではなく明るく透明感のある音ですが、フランス風の薄く羽毛のようにちょっと風が吹いただけでも吹き飛んでしまいそうな軽い音ではなく、機動力は軽い音の並の素早さを持ちながら、音自体はしっかりとした太いものです。吹く時にことさら硬くアタックをつけて強調したりせず、むしろ柔らかく滑らかに吹いていながら、音に厚みがあるため、他のソロ楽器や伴奏の間で音が埋没することなく、確固たる存在感を持っています。これがトランペットが主役の部分になると、さらにもう一段階存在感が高まります。他のソロ楽器の間から一際輝きを増してトランペットが立ち上がってくるところなどは、まさに満を持して主役が登場してきたかのような趣を感じます。
 一方、伴奏の方で気がついたのが、音の軽さ、そしてリズミカルなところです。
 伴奏はシカゴ響ですが、シカゴ響全体が伴奏しているわけではなく、ほとんど各パート一人という編成で、むしろ室内楽に近い規模ですから、当然、響きも薄く軽いものです。
 もちろん、貧相という意味ではなく洗練された響きで、精緻なアンサンブルですが、その中でも特に気づいたのがリズムの良さです。
 この規模ですから重すぎるわけは無いとしても、かといって軽くさらっと流してしまうのではなく、リズムは硬くしかもある程度重みもつけています。
 それも小節の頭とかではなく、ほとんど拍ごとに細かい単位で力を入れています。音をぶつけたり力いっぱい踏み込んでいるわけではないので、細かくてもくどくなったりはせず、ちょうど良いぐらいにリズミカルな流れが生まれています。
 トランペットソロのように目立つ部分ではありませんが、ちょっと細かい神経の使いようが感じられて面白いところです。(2007/6/9)


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