J.シュトラウスII ワルツ「ウィーンの森の物語」

指揮ウィレム・メンゲルベルク
演奏ニューヨーク・フィルハーモニック
録音1923年4月23日
発売及び
CD番号
BIDDULPH(WHL 025-26)


このCDを聴いた感想です。


 メンゲルベルク「ウィーンの森の物語」の録音は2種類あり、以前(2002年1月)に一度取り上げましたが、今回のは旧録音にあたります。
 どちらの録音も演奏はニューヨーク・フィルで、録音年代も1923年と1927年ですから、4年しか違わないのですが、録音方法は機械録音から電気録音へと大きく進歩しています。
 当然、音も新録音の方が格段に良くなっており、現在ほど録音が盛んでなかったこの時代に4年しか経っていないのに再録音したのも、おそらくそのためでしょう。
 ただ、SP一枚に入る収録時間はそれほど延びなかったようで、平均11分前後かかる曲を4分半に無理やり押し込んでいるのは、新旧両録音とも変わっていません。
 そのカットしている部分ですが、新録音の感想を書いた時には、手許にまだ総譜が無く当て推量で書いたため、いろいろと勘違いしている点もありました。
 今回、総譜を調べたところ、カットしているのは、メインのワルツ前の序奏部丸ごと全部と、繰り返しは全てカット、さらに第5ワルツの直前でコーダの途中に飛び、そこからは最後まで演奏されます。
 前の感想で書いたツィターの部分についても、ツィターが全く出てこないというのは間違いではないのですが、正確には、後半のツィターが登場する部分は演奏に入っているがツィターではなくオーケストラにより演奏されている、ということです。(このツィターを使わない場合の演奏方法は総譜に予め指定されています)
 ちなみに、このツィターの代わりにオーケストラが演奏する部分は、だいたい弦楽器が主体に管楽器が少し加わる程度ですが、メンゲルベルクの新旧録音ではわずかに違いがあります。旧録音では弦合奏が普通に各パート複数名の合奏ですが、新録音ではどうも各パート一人ずつの重奏で弾いているようなのです。もっともなにぶん古い録音なので、そう聞こえるだけで実際は定かではありませんが……
 さて、演奏の方ですが、新録音の時の感想の繰り返しになってしまいますが、やはり旧録音の方がずっと直線的です。
 ゆっくりとしたテンポで始まり、次第にテンポを上げて行く点では新旧とも基本的なスタンスは同じです。
 しかし、新録音の方が余裕があり、大きく巻くように曲線的にテンポを追い込んでいくのに較べて、旧録音の方は、最短距離でまっすぐにテンポを追い込んでいきます。直線的な分、性急ですし少し強引にも感じますが、結末へまっしぐらに突き進んでいく緊張感と切迫感は、新録音よりもハッキリと表れています。
 もっとも、ワルツで『直線的』とか『緊張感』とか『切迫感』と言っている時点で、既にワルツとは呼べなくなっているような気もしますが。
 まあ、円舞曲(ワルツ)ではなく線舞曲(?)といったところでしょうか。なんだかコサックダンスのような激しい踊りを連想してしまいました。
 逆に、これほどワルツの雰囲気が無い「ウィーンの森の物語」というのも珍しいでしょうし、ウィンナワルツはどれだけ本場に近づけても、ウィーン・フィルなどの本場のオーケストラの方が上に見られがちですから、ここまでワルツから遠く離れた方がかえって潔いかもしれません(笑)(2005/1/8)


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