J.シュトラウスII ワルツ「芸術家の生涯」

指揮ウィレム・メンゲルベルク
演奏ニューヨーク・フィルハーモニック
録音1927年1月10日
販売及び
CD番号
Pearl(GEMM CDS 9922)


このCDを聴いた感想です。


 新年(2003年)最初の更新ですから、昨年に引き続き、ヨハン・シュトラウス二世のウィンナーワルツでいきたいと思います。
 ……といいましても、メンゲルベルクが録音したヨハン・シュトラウス二世のワルツは、2曲3種類の演奏しかなく、昨年、片方の「ウィーンの森の物語」を取り上げましたので、今回はもう片方の「芸術家の生涯」という事になります。

 で、メンゲルベルクが演奏した「芸術化の生涯」なんですが、実は、大筋においては、昨年、「ウィーンの森の物語」の時に書いたことがほとんどそのまま当てはまります。
 まあ、メンゲルベルクはウィンナワルツが主要なレパートリーだったわけでもありませんし、同じウィンナワルツという事で、どうしても演奏傾向が似通ってしまうのは当たり前なのかもしれません。
 例えば、一続きのメロディーがあった場合、始まりはゆっくりとしたテンポで始まって、だんだん加速して速いテンポになって行くというパターンで、これがメロディー毎に繰り返されます。
 ちなみに、最高速に達するメロディーの最後の部分ではかなりの速さになるのですが、踊れないぐらいの速さではありません。……本当は、曲の最後の最後は、とても踊れそうに無いぐらいの猛烈な速さになるのですが、それは例外です。
 また、ゆっくりしたテンポから速いテンポのへの加速は早く、ゆっくりしたテンポなのはほんのわずかな時間で、すぐに最高速の7割ぐらいまでテンポが上がり、そこから最高速に向かって少しづつテンポアップしているため、全体としてはテンポは速い印象を受けます。
 ただ、メロディーを開始する時のテンポの落とし方は半端ではありません。
 まるで、個性を見せるのはここだ! と一点に集中させたかのように、音楽を後ろに引っ張ってテンポを遅くします。
 極端な部分では、ほとんど止まりそうになるくらいテンポを落としていて、踊っている人がいたら、きっとこの部分では耐え切れなくなって倒れてしまうのではないかと思えてくるほどです。
 さらに、こういうテンポを遅くする部分では、メロディーも、ところどころにポルタメントをかけて濃厚に歌っているため、ますます踊るという雰囲気ではありません。
 それでも、歌わせ方が濃厚だからといって、音楽が重いわけではなく、これは録音でそう聞こえるのかもしれませんが、第1拍目に一瞬だけ力が入り、第2・3拍目はかなり抜いていて、意外と軽やかな雰囲気です。
 ウィンナワルツに割と近い雰囲気を出しているのに、それ以上にメンゲルベルクらしさの方が強く感じられるというのが、やはりメンゲルベルクなんでしょうねえ(笑)

「芸術家の生涯」というワルツは、たいてい8分かそれ以上の演奏時間の筈ですが、この演奏は4分37秒しかかかっていません。
 この差は、もちろんテンポが倍も速いわけではなく、単に楽譜をカットしているせいです。
 手許に総譜が無いので、どこをカットしたのか詳しくはわからないのですが、半分もカットしているのにもかかわらず、聴いた限りではそれほど違和感はありません。
 この4分半という時間は、「ウィーンの森の物語」同様、やはり原盤1枚に収めるためなのでしょう。(2003/1/4)