J.P.スーザ 星条旗よ永遠なれ

指揮エドゥアルト・ヴァン・ベイヌム
演奏アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団
録音1958年9月
カップリングJ.C.バッハ シンフォニアより抜粋 他
「Meesterstemmen(Dutch Masters Volume.41)」の一部
発売PHILIPS
CD番号462 105-2


このCDを聴いた感想です。


 ヴァン・ベイヌムがまさかこういう曲まで録音しているとは思いませんでした。
 アメリカと特に何のかかわりも無いヴァン・ベイヌムとコンセルトヘボウ管が、スーザの代表的な行進曲でほとんどアメリカの象徴のようなこの曲をどういう理由で録音したのかまるで見当がつきませんが、なぜかわざわざ予定を組んでスタジオで録音しています。もっとも、ヴァン・ベイヌムは一時期ロス・フィルの音楽監督を務めていたぐらいですから、全く縁もゆかりも無いわけでもないわけではありませんが、演奏しているのはコンセルトヘボウ管ですしやっぱりアメリカとの接点はあまりなさそうです。
 しかも、貴重なステレオ録音です。ヴァン・ベイヌムの数少ないステレオ録音の一つがこういうマーチというのは、ちょっともったいないかなという気がしなくも無いのですが、マーチのような派手な曲の方がステレオ録音の恩恵を受けやすいでしょうし、この曲が選ばれたのもそう悪くない選択だったかなとも思います。
 ちなみにこのCDは、既に何十種類もリリースされているフィリップスの「Dutch Master」シリーズのサンプルCDのような扱いで、他のCDに全曲収録されている曲の抜粋(+それぞれの演奏者へのインタビュー)を集めているのですが、一部にはこのCDにしか収録されていない演奏もあり、ベイヌムの「星条旗よ永遠なれ」もその一つで、おそらくこのCDにしか収録されていないのではないでしょうか。

 この曲は、本来は吹奏楽で演奏される曲で、それをオーケストラ用に編曲しているのですが、弦楽器はあまり前面に出てくることは無く、基本的に管主体で弦楽器は響きを補強したりといった補助的な使われ方です。管楽器は原曲通りで、それに弦が重なっているというイメージに近いですね。
 ただ、響きはさすがに厚く、原曲の吹奏楽団での演奏がシンプルにまとまって動きも鋭く軽いのに対して、オーケストラでは一つ一つ動き重く、その代わりに力強さと迫力があります。
 メロディーなどは、ほぼ原曲の楽器がそのまま担当しています。例えば、トリオからのメロディーですが、ここは、同じメロディーが三回繰り返され、一回目は弱い音でゆったりと、二回目はそれにピッコロの激しい動きの対旋律が加わり(ライブだと、よくピッコロがスタンド・プレイをして終わった後に拍手喝采となる部分です)、三回目は全合奏でフォルテで演奏されます。ここの最初のゆったりとしたメロディーは、おそらく原曲だとサックス+ユーフォニウムという、どちらもオーケストラでは標準装備ではない楽器が担当してますが、この演奏でも聴いた感じではサックスとユーフォニウムをわざわざ加えて原曲通り演奏しています。金管の音色は、最初はホルンかトロンボーンのどちらかかなとも思ったのですが、注意して聴き直してみると、トロンボーンにしては柔らかくホルンにしては低く響く音なのでおそらくユーフォニウムだと思います。
 その一方で、ちょっと変わっているのが、その次のピッコロの対旋律の部分です。ここはスタンドプレイをすることもあるぐらいですから本来はピッコロだけのソロですが、ピッコロだけでなく、なぜかオーボエも加わっています。もしかしたらフルートも入っていたのかもしれませんが、これはちょっと聞き取れませんでした。ピッコロ+オーボエというのもなんだか妙な組み合わせで、音色を溶け合わせて調和させるよりも、音色が思いっきりぶつかり合うことで緊張感を出すためにそういう組み合わせにしたのではないかと考えてしまいます。

 テンポは少し速めですが、途中で動かしたりはしないため、それほど急き立ているような焦った雰囲気は無く、むしろどっしりと安定しているといった印象を受けます。
 全体的なトーンも、あまりアメリカ色を前面に打ち出した華やかなものではなく、しっとりと落ち着いています。マーチはマーチでもリズム感を強く出したマーチングとは正反対の、響きとメロディーを歌わせることを重視したコンサート・マーチとして演奏しています。(2005/7/16)


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