J.ハルヴォルセン ロシア貴族の祝典行進曲

指揮ウィレム・メンゲルベルク
演奏ニューヨーク・フィルハーモニック
録音1924年4月16日
発売及び
CD番号
BIDDULPH(WHL 025-26)


このCDを聴いた感想です。


 この曲は、オーケストラでよりも、むしろ吹奏楽による演奏で知られているのかもしれません。
 わたしは、このCDにより曲を知ったのですが、インターネットで調べてみると、吹奏楽団の定期演奏会などで、よく演奏されているようです。
 作曲者のヨハン・ハルヴォルセンという人は、ノルウェーの作曲家なのですが、この曲、本国ではかなりメジャーな曲らしいのですが、スカンジナビアを離れると、どうも今一つ知名度が薄いようです。実際、この曲のオーケストラによる演奏のCDは、多くが地元の北欧のオーケストラによるものです。
 わたしが、メンゲルベルク以外の演奏を探していて、たまたま入手したのはNAXOSのCDだったのですが、これは北欧のオーケストラではなく、スロヴァキア・フィルによる演奏でした。しかし、これはおそらく珍しい事例ではないでしょうか。

 さて、内容の方ですが、行進曲といっても、スーザのマーチや、ラデッキー行進曲や、タイケの「旧友」のように屋外みたいな広い場所で行進する事を想定した行進曲ではありません。
 一番雰囲気が近いのは、ラコッツィ行進曲(ハンガリー行進曲)で、始まりが短調であるところもそっくりです。
 どうやら、この曲は劇音楽として書かれたらしいのですが、フォルテの部分とピアノの部分のダイナミクスの幅がかなり広めになっている点からも、劇場等の室内での演奏のための音楽と納得できます。
 しかも、マーチでありながら、山あり谷ありで起伏があったり、短調と長調が変わりばんこに上手く組み合わせてあったり、管楽器の音色を活かして色彩も華やかだったりして、なかなか楽しい曲です。
 さらに、金管には派手なファンファーレもあり、ちゃんと見せ場を作ってくれます。
 ……なるほど、そう考えると、吹奏楽にも十分向いてますね。この曲。

 メンゲルベルクの演奏は、録音年代が古いこともあって、全合奏による迫力というのはあまり望めません。
 その代わり、ソロやメロディーを担当する楽器の音色を強調した、より色彩の豊かさに重点を置いた演奏になっています。
 また、メロディーも、マーチらしい歯切れの良さに加えて、特にソロの部分では流麗さがあり、横の流れが強く意識されています。
 もっとも、いくら流麗といっても、そこはマーチ。さすがにテンポを大きく揺らしたりとか、ポルタメントをつけたりはしていません。その点では、メンゲルベルクは、『普通』と言えるほど極々真っ当な曲の進め方をしています。
 こういう演奏を聴くと、どうしても曲線的なテンポばっかり強調されがちなメンゲルベルクも、実は音楽を直線的に進めても十分に聴かせられる演奏ができるという事がよくわかります。(2002/5/10)


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