J.ブラームス 交響曲第4番 ホ短調

指揮マックス・フィードラー
演奏ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
録音1929年
カップリングブラームス 交響曲第2番 他
発売BEULAH(Polydor)
CD番号1-2PD18


このCDを聴いた感想です。


 余韻を持たせるのが風情というものです。
 と、フィードラーが考えたかどうかはわかりませんが、メロディーの最後の音をテンポから一呼吸遅らせてテンポ通りに進む伴奏よりも後ろに残しています。
 ちょうど協奏曲のソロみたいな感じで、メロディーが強調されより情感豊かに聞こえます。
 もっとも、別の見方をすればまるでもったいぶって弾いているようにも聞こえますが。
 メロディーの終わりで毎回テンポを遅らせているため、メロディーから次のメロディーの移り変わりは相当はっきりとした境界があり、メロディーが移るごとにそこで音楽がいったん完結してまた新たな音楽が始まるというように聞こえ、流れはけっこうブチブチと切れています。
 とにかく、曲や楽章全体とか一連のメロディーのつながりといった長いスパンで音楽を作るのではなく、今演奏している一つのメロディーが勝負でありそれに凝りに凝る、そして次のメロディーはまた新たな気持ちで臨むといった姿勢が感じられます。
 こういったメロディーに目一杯情感をつけるためにメロディーの最後でもったいつけるという手法はメンゲルベルク辺りもよくやっていますが、メンゲルベルクはまだ音楽の流れにあわせて少しは加減しているように聞こえるのに対して、フィードラーの演奏では完全に様式化して音楽の流れに関係なくとにかく最後の音はワンテンポずらすという雰囲気があり、良くも悪くも古さを印象付けられました。
 いやもう、メンゲルベルクがまだモダンに聞こえるなんてなかなか無いのではないでしょうか。
 まあ、そもそもフィードラーはメンゲルベルクよりも11歳も年上なのですから(1859年生)古く聞こえるのも当たり前ですか。
 さらに第3楽章や第4楽章の一部では雰囲気が切り替わる部分で音楽をいったん止めて完全に一呼吸分空白を開けたりするのも今ではとても見られないようなやり方で、ここまで来るとかえって斬新に思えてくるほどです(もっとも、これは演奏上ではなく単に編集時のミスの可能性もありますが)。
 全体を通じてみればフォルテの部分などで引き締まったキビキビした動きがあったりとモダンに聞こえる点も無くは無いのですが、やはり印象に残るのはメロディーの最後に見せる妙な拘りといったところで、いかにもこれぞ古(いにしえ)の時代の演奏といった雰囲気があります。
 サブマシンガンで撃ち合う時代に馬上の騎士を見るようなもので、実用性はともかくロマンがあったなぁ、という感慨を覚えます。
 ただ、この演奏のどうしようもない欠点は録音の悪さで、1929年という古さを考慮してもかなり酷いものです。
 音の分離は年代相応としても雑音が盛大に入っているのには泣きが入りました。古い録音に少しは慣れている(と思っている)自分ですら苦痛に近かったのですから、他の方にはちょっとお薦めできない演奏です。チャレンジ精神旺盛の方(別名:人柱希望の方(笑))はがんばってみてください。

 一つご留意して頂きたい点があります。
 この演奏はベルリン・フィルと1929年に録音したものと冒頭のデータ部分に書いていますが、フィードラーは1930年にベルリン国立歌劇場管と同じ曲を録音しているとも聞いています。二年続けて同じ曲を録音するとはあまり思えないので二つの演奏は同一の演奏である可能性が高いでしょう。
 そうなると、1929年ベルリン・フィルと1930年ベルリン国立歌劇場管のどちらかの情報(あるいは双方)が誤りということになりますが、わたしが調べた限りではわかりませんでした。
 そのため、とりあえず現時点ではCDに記載されている情報を優先して掲載しています。資料等が見つかりしだい修正したいと思います。(2004/6/5)


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