J.ブラームス 交響曲第2番 ニ長調

指揮クラウディオ・アバド
演奏ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
録音1988年9月
カップリングブラームス 交響曲第1番 他
「ブラームス交響曲全集」より
発売Grammophon
CD番号435 683-2


このCDを聴いた感想です。


 曲の最後の最後の、トランペットによるファンファーレ風のメロディー。この演奏の魅力はそこに尽きます。
 これほどハーモニーを美しく響かせた演奏は、他に聴いたことがありません。
 この部分は、曲のクライマックスですし、ファンファーレ風の動きということもあって、どの演奏でも一段と力が入る部分です。
 周りの伴奏に埋もれないよう、ここぞとばかりに突き抜けるような鋭い音や輝かしい音色で聞かせたりするものですが、この演奏は、力を入れてパワーで聞かせるのではなく、無駄な力を抜いた澄んだキレのある音で、広く響かせています。
 凝縮するのではなく逆に大きく拡散するように伸び伸びと広がり、それに加えて1番奏者と2番奏者の響きがピタリと結びつき、一体となってさらに大きな響きを作り出しています。
 他の演奏で、この部分を聞いて興奮することはよくありましたが、ハッとする美しさを感じたのは初めてです。
 どの演奏を聴いても鮮明に思い出せるほど強く印象に残りました。
 また、そこまで鮮烈とまではいきませんが、その他の部分では、その柔らかさに惹かれました。
 まるで大きな布を敷いてその上に曲を乗せたように、アタックはぶつからないように柔らかく保護され、響きは厚く広がりがあります。
 力のある音というよりも厚みを重視した音で、ブラームスの特徴でもある入り組んだ構造を、骨組みを浮かび上がらせることで立体的に見せるのではなく、骨組みと骨組みの間に幕を張り、大きく膨らませて一体感を持たせています。
 決して重くはないのですが、体積としては非常に巨大に感じる演奏です。
 さらに、音楽が一体となっていても、ベタッと一色に塗りつぶした単調な印象は受けません。
 間が埋まっていても動き自体は、丁寧に一つ一つに意味を持たせて扱われています。そのため、伴奏にしても無個性ではなくちゃんと意思が感じられるのです。
 特に、メロディーはよく歌われています。ビブラートをしっかりと利かせ、感情が強くこもっていると言っても良いぐらい大きな存在感を示しています。
 基本的に厚い響きと柔らかさが持ち味ながら、メロディー自体は十分に目立っているあたり、わたしが聴いたブラームスの第2番の演奏の中でも、個性的な演奏として印象に残りました。
 ちなみに、この演奏はアバドがベルリン・フィルと録音したブラームス交響曲全集の一曲ですが、一連の録音の中では最初の頃のもので、録音された1988年9月は、まだアバドがベルリン・フィルの常任指揮者になる前、カラヤンが存命の時期です。改めて考えてみると、演奏の雰囲気はカラヤンのものにけっこう近いのではないかとも思います。(2008/9/20)


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