J.ブラームス 交響曲第2番 ニ長調

指揮ヨゼフ・カイルベルト
演奏バイエルン放送交響楽団
録音1966年12月8日
カップリングモーツァルト 交響曲第40番
発売ORFEO
CD番号C 553 011 B


このCDを聴いた感想です。


 線の太い演奏です。
 重量感があり、分厚く堂々と迫ってきます。
 ただ、分厚いといっても、脂肪分ばっかりが目立つ肉のように和音などの響きが厚いわけではありません。たしかに、響きだけに注目すれば十分な分厚さがあるのですが、筋肉質の赤身の肉のように響きの厚さよりメロディーなどの動きの音の太さに圧倒されました。それは主旋律だけではなく、対旋律はもちろんのこと、伴奏の動きに至るまで全てです。
 よく、旋律を糸に例えて、複数の旋律が絡み合うのを織った布のように表現されることがありますが、この演奏の場合は糸ではなく太いロープが縦横無尽に絡み合った、槍が突いても突き抜けない頑丈な布というところですね。
 動き自体が太くしっかりしているため、ずっしりとした重量感がありながらも、鈍重ではありません。このあたりはバイエルン放送響の実力の高さというところでしょうか、太く重い音でも機能性は高く、複雑な動きでも乱れ無く、テキパキと動いていきます。
 カイルベルトの演奏というと、バンベルク響との演奏などから、どうしても『質実剛健』といった感じで、どっしりと重量感があるけれども頑固であまり融通がきかないというイメージがありましたが、この演奏は重量感はそのままにさらに柔軟性が加わっています。
 いや、柔軟性というより、積極性といった方が近いかもしれません。
 常に動的で、前に向かって大きく歌っています。メロディーなどの動きもただ音が太いだけでなく、力を入れてどの動きも浮き立たせているからこそ、強く迫力が感じられるのでしょう。
 まあ、音の太さが際立つために、音が弱いピアノの指定の場所でも、音量は確かに小さくなっていても力強さはあまり衰えず、ピアノでもメゾ・フォルテぐらいに聞こえてしまいますが、それほど気にはなりません。
 テンポは基本的に楽譜の指定どおりであまり動かさず安定していますが、一箇所、大きくというほどでは無いものの、はっきり変化するところがあります。
 それは第4楽章の終盤で、前半にも同じような音型で出てくる、木管が八分音符で音階を上り下りするパターンの次に、今まで無いパターンとして金管がシンコペーションで裏拍をつないでいく音型が登場する部分です。(第353小節目。練習番号Oのところ)
 この金管のシンコペーションが出てくると同時に、テンポが一段階アップします。
 このテンポアップが非常に効果的で、いよいよ曲が終盤に入ったという高揚感と、緊張感が一気に高まっています。
 そのまま曲の終わりに向かって盛り上がりは続き、聞いた後に大きな充実感を感じさせるところが、やはりカイルベルトの上手さなのでしょう。(2006/4/22)


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