J.ブラームス 交響曲第1番 ハ短調

指揮クルト・ザンデルリング
演奏ドレスデン国立歌劇場管弦楽団
録音1971年
カップリングブラームス 悲劇的序曲 他
「ブラームス交響曲全集」より
発売BMG(RCA)
CD番号74321 21285 2


このCDを聴いた感想です。


 ザンデルリングは2002年に引退してしまいましたが、存命している指揮者としてはおそらく最年長でしょう(2006年12月現在)。ちなみに演奏会をほとんど見に行かないわたしが珍しく実演に接したことがある指揮者です。曲目はシューベルトがメインでオーケストラはなぜかパリ管弦楽団という謎の演奏会でしたが……
 そのザンデルリングのブラームスは、ライブ録音を別とすれば、交響曲全集としての録音は二種類あります。古い方が1971年前後のドレスデン国立歌劇場管との録音で、新しい方が1990年のベルリン交響楽団との録音です。より新しいベルリン響との録音は、なかなか評判が良いのですが、残念ながら未だに聞いたことがなく、今回取り上げるのもドレスデン国立歌劇場管との旧録音の方です。
 ベルリン響との新録音がどれほど良いかはわかりませんが、この旧録音でさえ既に今まで聞いた同じ曲の演奏の中では十分に満足できるものです。いや、最上位に近いと言っても良いかもしれません。
 特に、折り目正しくきっちりと進めていくという点では随一でした。
 一つ一つの音型をていねいに仕上げ、それを頑丈に組み上げていきます。
 たしかに、スピード感や勢い、スムーズな流れはそれほどありませんが、一歩ずつ着実に進めて、しっかりとした骨組みをつくり、そこに厚い響きが肉付けされています。
 まさに太い柱を真ん中に据えた頑丈な家という感じで、響きに厚みがあってもぶよぶよとしたたわみがなく締まっています。風が吹いたらすぐ傾いてしまうような家とは違い、遅めのテンポでもずるずると後ろに引っ張られることなく、風が強くなろうが弱くなろうがビクとも揺るがず、ゆっくりながら着実に安定して前に進んでいきます。
 さらに印象に残ったのが、強いフォルテでの響きです。
 冒頭から既にそうなのですが、いかにも全身全霊を込めて弾いてますというような緊張感のある力強い音です。
 しかも、それだけ力の入った密度の濃い音にもかかわらず、響きに濁りがありません。
 響きは大きく広がって、全体を包みこむように覆ってきますが、全く暑苦しくなく、むしろ外側へ抜ける風通しの良さが感じられます。
 力強くありながら大きな広がりを持ったまさに雄大な響きです。
 ちなみに、この演奏自体わりと遅めのテンポなのに、ベルリン響との新録音はそれに輪をかけてテンポが遅いのだそうです。
 それでいて評判が良いということですから、一体どういう演奏なのか。新しい録音の方も近いうちに入手して聞きたいものです。(2006/12/16)


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