J.ブラームス 交響曲第1番 ハ短調

指揮ラファエル・クーベリック
演奏バイエルン放送交響楽団
録音1983年4月26〜29日
カップリングブラームス 交響曲第2番 他
ブラームス交響曲全集の一部
発売ORFEO
CD番号C 070 833 F


このCDを聴いた感想です。


 この演奏は、各声部をクリアにすることで、立体的な深みのある音響を創り出しています。
 特に弦楽器の中音部は、ハーモニーの内声部としての役割をきっちりと果たしていながら、しっかりと歌いきっています。
 また、木管楽器も、ソロの部分は各楽器の音色を聴かせるのですが、木管全体で演奏する部分は、音色を融合させ、一体となって聴こえてくるように演奏しています。
 さらに、金管楽器は常に控えめであり、アシストに徹しています。常にハーモニーの一員として響きを重視して鳴らしていて、金管が表に出てくる部分でも生の音を少なくして響きを多くする事で、目立ちすぎてバランスを壊さないように注意深く吹いています。
 これらが調和することで、弦・管・打に一体感が生まれ、メロディーだけでなく全体がこちらに訴えかけて来るように聴こえて来るため、深く迫力がある演奏になっているのです。
 この点において最も上手くいっているのが、第1楽章の展開部に入ってからしばらく進んだところの、弦楽器がフォルティッシモの和音で木管と呼応しあいながらベタ押しして行く部分で(Vn.IがDes-Es-Des-Ces-B-As-B-As-Gesと弾くところ(232小節〜))、この演奏と同じくらい聴かせられるのは、フルトヴェングラーだけでした。いや、むしろフルトヴェングラー並に聴かせられたのがこのクーベリックの演奏だけだったと言うべきかもしれませんが……

 テンポは遅めが基調で、あまりトントンと調子良く進んでいくという感じではなく、一歩一歩念を押しながら着実に進んで行っているような雰囲気です。
 特にアクセントの部分にはタップリと重量をかけ、さらに強調したい部分では一瞬だけ間を取ったりと、音楽の流れを堰き止めてまで強調しています。
 そのため、非常にドラマチックなのですが、その一方でスピード感は大きく犠牲になっています。聴いている人にとっては、おそらくこの部分が賛否を分ける事になると思います。
 わたしはこういうもったいぶった演奏は結構好きです。

 この全集は、以前から評判は耳にしていたのですが、7000円弱という値段に腰が引け、なかなか購入に踏み切れませんでした。
 なにしろ、今時CDによっては、いろいろ序曲も入った全集が2000円以内で買うことが出来るというのに、交響曲のみでしかも輸入盤だというのに7000円も出すというのは、なかなか勇気が必要な行動だとは思いませんか?
 さらに悪いことに、最近は店頭に出回らなくなってしまい、買うどころか見つけるのさえ困難になってしまいました。
 ……いや、もしかしたらあまり見かけなくなったのが却って幸いしたのかもしれません。
 わたしには悪い癖がありまして、店頭でよく見かけるCDだと「いつでも買えるから今回は、ま、いいか」と思い、あまり欲しいとは思わないのですが、いざなかなか手に入らないとなると急に欲しくなるのです。困ったことに(笑)
 この癖で、いままでいくら足を棒にしてCD店巡りをしたか……いや、その話はともかく、この全集を某大手CD店で見つけたときは、喜び勇んで買いました。
 しかし、もしこのCDがどこの店でも見かけるCDだったら、きっと今でも買っていなかったことでしょう(笑)
 こうして大枚叩いて買ったCDですが、やはり払っただけの価値がありました。
 今回は第1番についての感想のみ書きましたが、他の3曲の演奏も同じくらい好きになりました。
 これらの3曲の感想も、また後日書きたいと思っています。(2001/10/26)


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