指揮 | ウィレム・メンゲルベルク |
演奏 | アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団 |
録音 | 1940年10月13日 |
カップリング | ブラームス ドイツ・レクイエム 他 「ウィレム・メンゲルベルグの芸術」の一部 |
発売 | 日本フォノグラム(PHILIPS) |
CD番号 | PHCP-3094 |
メンゲルベルクはブラームスの交響曲を4曲とも録音していますが、この第1番だけは唯一スタジオ録音がなく、PHILIPSに残したライブ録音しかありません。 正確に言いますと、コロンビアに第3楽章だけスタジオ録音(1930年)しているのですが、全曲となりますとこのライブ録音だけです。 演奏の方は、ブラームスですので、ベートーヴェンを演奏するときよりは、テンポをかなり伸び縮みさせたりしていますが、チャイコフスキーのときほど極端ではありません。 全体的には速めのテンポですが、ここぞというときにはテンポを落として、さらにポルタメントをかけて劇的に盛り上げています。 ただ、第4楽章では盛り上げる範囲を短く切りすぎて不自然になっているところが出てきています。 例えば第4楽章の第一主題のメロディ(某ベートーヴェンの第9番の「歓喜の歌」にそっくりといわれている)は、ほとんどフレーズごとにテンポを緩めているため、前へ歩き出そうとした瞬間に、襟首を後ろからつかまれるような、もどかしさを感じます。 まあ、ある意味、ここまで情感たっぷりな演奏は他には無いともいえますが… 他の楽章で特筆すべきところは第2楽章のヴァイオリンソロです。 初めは、オーボエやホルンと同じメロディーを弾いて、2回目は対旋律を弾くのですが、これほどまでにポルタメントをたくさんかけて、さらにテンポを自由に揺らした演奏は聴いたことがありません。 そのため、ブラームスとは思えないほど甘美な響きになっています。 これは理性ではなく、直接感情に訴えかけてきます。 また、全体的に言えることですが、ティンパニーが大きめのバランスで演奏されているので、締まった印象を受けます。 録音は、ライブ録音であるため、分離が若干悪く、ちょっとこもり気味ですが、総じてとっても良好だと思います。 特に、大きな音の部分で潰れたりしないのはうれしいところです。(2000/4/28) |