J.ブラームス ピアノ協奏曲第2番 変ロ長調

指揮フリッツ・ライナー
独奏ピアノ:エミール・ギレリス
演奏シカゴ交響楽団
録音1958年2月8日
発売ビクタークリエイティブメディア(RCA)
CD番号JM-XR24022S


このCDを聴いた感想です。


 ギレリスの音は、何だか「雹」を思い起こさせます。
 一音一音の粒が硬くはっきりとしていて、しかもその音の粒がすごく大きいのです。屋根に当たったらコンコンとすぐに跳ね返ってしまうような軽いものではなく、ボスッボスッと屋根を突き破ってきそうなぐらい重量感のある音です。
 それほど力のある音だけに、演奏は表現力豊でスケールも大きく、音が刻まれていくたびに、聞き手にグッと迫ってくるものを感じさせます。
 しかも、それだけ力強いのに粗さがほとんど無いのです。力強く音が叩きつけられても、音に濁りが無く、雹から気泡を抜いて透明にしたみたいに、コーンという澄んだ音で響きます。
 澄んだ音というと、ピアニストによっては、響きだけを残し実体が感じられない幻想的な雰囲気できかせる人もいて、それはそれで魅力があるものですが、ギレリスの場合は、そういうタイプではありません。
 澄んだ音でも、実体はしっかりと残っていて、それがビシバシと地面に打ち込まれるようで、地に足が着いています。隅々まで隠すことなくしっかり見せ、そのどこにも緩みがありません。
 さらに、伴奏のライナーとシカゴ響もギレリスに輪をかけて、硬くクリアに聞かせてきます。これはもうライナーの得意技で、江戸っ子の啖呵のように、音を短く切って、パシパシと畳み掛けてきます。
 音楽の方向性が、ソリストと伴奏と全く同じで、これほど相性がピタリと合っている組み合わせは、そうそう無いのではないでしょうか。
 ソリストと伴奏のどこをとっても、非常にキレがあり、モヤッとしたところが一切無い、細部まで締まった演奏です。威厳がありながら、重すぎず、聴いていて爽快な気持ちになってきます。
 ちなみに、私が買ったこのCDは、xrcd規格をSHMの盤に入れたものですが、音の良さにも驚きました。xrcdとSHMのどちらが要因なのか、あるいは相乗効果か、はたまた元々の録音の良さによるものかはわかりませんが、音のクリアさと、なにより響きの豊かさは、とても1950年代後半のステレオ最初期のものとは思えないほどで、他の演奏家による同時代の録音も、これだけの音質ならなばと、おもわずため息をついてしまったほどです。(2011/3/20)


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