J.ブラームス ハイドンの主題による変奏曲
(ピアノ四手版 op.56b)

演奏ピアノ1:マルタ・アルゲリッチ
ピアノ2:アレクサンドル・ラビノヴィッチ
録音1993年4月
カップリングブラームス 2台のピアノのためのソナタ 他
発売TELDEC
CD番号4509-92257-2


このCDを聴いた感想です。


「ハイドンの主題による変奏曲」というと、一般的に思い浮かぶのは管弦楽版だと思いますが、ブラームスは管弦楽版と同時にピアノ四手版(つまり2台のピアノ)も完成させています。
 ちなみに管弦楽版の方の作品番号が56なのに対して、ピアノ四手版の方の作品番号は56となっています。

 ピアノ四手版を管弦楽版と較べると、楽器の違いはあれど構成自体はほぼ同じです。したがって、どちらかの版のみに存在する音符はほとんどなく、まるで片方を基に丸写ししたかのようです。
 しかし、ピアノ版はやはり音色の面で管弦楽版と較べて華やかさに欠ける部分は確かにあります。
 弦楽器の柔らかさや、管楽器の様々な色彩は、さすがにピアノだけでは太刀打ちできません。
 その代わり、ピアノには發弦楽器らしい粒の揃った音があります。
 特にタカタカタカという硬い音は、オーケストラでは中々真似できないものです。
 さらに、ピアノ版の場合は、何十人といるオーケストラと違ってたった二人であるため、小回りが利くという利点があります。
 オーケストラだと簡単にはできないような思い切ったテンポも二人であれば楽にできます。

 マルタ・アルゲリッチとアレクサンドル・ラビノヴィッチの演奏も、そういうピアノ版の利点を十分に生かしたもので、歯切れのいいリズム感と思い切ったテンポ変化が魅力になっています。
 なかでもテンポ変化は、オーケストラではなかなかできないような、一つの小節の中でのテンポルバート等を随所に使っていて、なんだか羨ましく思えてくるほどです。
 キレのいい硬い音は、もちろん速いテンポの変奏にその良さがよく表れていて、第5変奏のpoco prestoに最も効果を発揮しています。
 ただ、その分ゆったりとしたテンポの変奏に対しては、フレーズ一つ一つが短くなってしまい、ちょっとせわしなくなっています。
 それでも、最後のフィナーレの後半で冒頭のテーマが戻ってくる辺りから最後までのスケールはさすがに大きく、二人で演奏しているとは思えないような迫力があります。(2001/8/10)


サイトのTopへ戻る