指揮 | エドゥアルト・ヴァン・ベイヌム |
演奏 | アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団 |
録音 | 1952年12月 |
カップリング | ブラームス ピアノ協奏曲第1番 |
発売 | キングレコード(LONDON) |
CD番号 | K28Y 1040 |
ベイヌムはこの曲を3回録音しています。 この演奏は、その中の2回目の録音で、3回目は1958年9月にPHILIPSに対して行なっていて、ステレオ録音です。 1回目は、音楽之友社から出版されている「クラシック 続・不滅の巨匠たち」によりますと、1941年11月にTELEFUNKENに対して行なわれているらしいのですが、これはおそらくCD化されていないと思います。 ベイヌムのレコーディングキャリアは決して長いとは言えませんので、その中でこの曲を3回も録音しているというのは、よっぽどこの曲に愛着があったんでしょうか。 わたしは、1回目の録音の演奏を聴いたことが無いので、この録音と、3回目のPHILIPSに行なったステレオ録音との比較になってしまうのですが、アプローチとしては大きな違いはありません。 どちらの演奏も外面的な演出効果を狙わずに、硬めの音で、むしろアッサリとさえ思えるほどテキパキと音楽を進めています。 しかし、テンポの設定とメロディーの歌わせ方とダイナミクスの構成は素晴らしいと思います。 それは、例えばフルトヴェングラーの様に、直接感情に訴えかけて陶酔や興奮させるようなものではありませんが、聴き終わった後に、しみじみと「聴いて良かった。もう一度聴いてみよう」と思わせてくれます。 3回目の録音は、ステレオ録音ということもあり、かなり広がりを持った余裕のある演奏になっています。 これは録音した会社の違いかもしれませんが、音も幾分柔らかめになっています。 2回目のこの演奏では、より鋭角的に、前に進もうとする力が表れています。 感じとしては、トスカニーニにより近い雰囲気になり、シャープさが増しています。 この演奏の中で、わたしがもっとも好きなのはホルンが16分音符のフォルテのメロディを演奏する第6変奏です。 この変奏の中では、メロディーにもなっている「タンタタ」というリズムが一貫して出てくるのですが、ベイヌムはこのリズムをかなり強調しています。 そのため、他の演奏にはない緊張感が生まれています。 これは、3回目の録音では弱くなっているので、わたしはこの2回目の録音の方が好きです。 余談ですが、この曲はわたしがスコア(総譜)を初めて買った曲です。 その当時、同じテーマを基にした「セントアンソニー・ヴァリエーション」(知ってる方は知ってらっしゃると思いますが、ある筋では有名な曲です)を演奏することがありまして、参考のために買ったのです。 同じテーマを基にした変奏曲ですが、かなり傾向は異なっています。 わたしは今でも両方とも好きなのですが、「セントアンソニー・ヴァリエーション」はCDが少ないこともあり、実は手許には持っていません。 欲しい欲しいとは思っているんですが… その時買ったスコアを見ると「1988年9月」と書いてあります。 その当時はまだ田舎にいて、指揮者もカラヤンとヨッフムしか知らなかったことを考えると、思えば遠くへ来たものだという気がします(笑)(2000/4/7) |