J.ブラームス ドイツ・レクイエム

指揮ジョン・エリオット・ガーディナー
独唱ソプラノ:シャルロッテ・マルギオーノ
バリトン:ロドニー・ジルフリー
演奏オルケストル・レヴォリューショネル・エ・ロマンティーク
モンテヴェルディ合唱団
録音1990年10月5〜9日
発売日本フォノグラム(PHILIPS)
CD番号PHCP-1685(432 140-2)


このCDを聴いた感想です。


 レクイエムといえばモーツァルト、ヴェルディ等の有名曲もあり、ファンが多いジャンルです。
 ところが、実はわたし、レクイエムをあまり聴かないのです。
 フォーレはまだしも、モーツァルトやヴェルディは一回聴いてそれっきりでCDすら持っていませんし、ドヴォルジャークやサン=サーンスには至っては未だに聴いたこともありません。
 その中で唯一の例外としてよく聴くのがこの「ドイツ・レクイエム」です。
 ……もっとも、この曲だけはメンゲルベルクの録音が残っているからという理由も大きかったりしますが(汗)
 さて、ガーディナーの演奏ですが、印象に残ったのは第2曲の「人はみな草のごとく」です。
 この曲の前半分に、ベートーヴェン交響曲第5番の有名なテーマのリズムをティンパニーが延々と演奏している暗い部分があり、その後に転調して明るく合唱が入ってくるのですが、この部分が美しいのです。
 雨雲が切れて日の光がさしたみたいに、重苦しい雰囲気が一転して軽くなります。
 合唱の響きが澄んでいるため本当に光みたいで、なんだかそれに導かれて高いところに運ばれていくような気持ちになってきます。
 この澄み切った美しさはとても現実とは思えず、まるで別世界か幻の中での響きのようです。
 同じように短調から長調に切り替わるところは、この第2曲に限らず他にもありますが、どれも良い雰囲気です。
 第2曲の別世界ほどではないにしても、明るくなった時にたしかにフワッと空気が柔らかくなったのがわかりますし、ホッと息をつき安らいだ気持ちで満たされていきます。
 もちろんブラームスが楽譜にそういうふうに書いているのですが、ガーディナーはその響きの純度をとことんまで突き詰めて表現しているのです。
 ガーディナーは古楽器を使い(解説には現代楽器を使用していると書かれていますが)、ビブラートを抑えて演奏することによって純度を高めていますが、これは全体にも特徴として表れています。
 生気溢れんばかりの輝かしい音ではなく、輝きを鈍くした少しくすんだ音でレクイエムらしい落ち着いた雰囲気をつくり、響きも倍音を減らした細い音で透明感を持たせています。
 フォルテも決して力ずくだったり荒々したりはせず最高潮に達した時も必ず一歩控えて響きが崩れません。
 さらにすばらしいのがピアノの部分で、空気が澄むと遠くのものがハッキリ見えるのと同じように、微かな音でも輪郭はクッキリとしていて緊張感があり、その上硬すぎることなく柔らかく繊細に響いています。(2004/6/26)


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