J.B.チャンス 朝鮮民謡の主題による変奏曲

指揮フレデリック・フェネル
演奏東京佼成ウィンドオーケストラ
録音1982年3月23・24日
カップリングホルスト 吹奏楽のための第一組曲 他
発売佼成出版社 音楽出版室
CD番号KOCD3503


このCDを聴いた感想です。


 この曲は管弦楽ではなく、吹奏楽の曲です。
 タイトルにある朝鮮民謡とは……ようするに「アリラン」です。
 「アリラン」はポピュラーな民謡なので、日本にいても耳にする機会は多いと思いますが、ご存知無い方のために少しだけ解説しますと、三拍子の曲で一拍60〜80ぐらいのたいへんゆったりとしたメロディーで歌われます。
 この変奏曲はテーマの他に5つの変奏がついており、

 テーマ→急→緩→急→緩→終曲

 という順番になっていて、全体としては7分程度の割と短めの曲です。
 各変奏ともオリジナルの音形がかなり残っており、親しみやすくなっています。
 特にすばらしいのが最後の終曲です。
 形式的にはブリテンの「青少年のための管弦楽入門」の終曲と全く同じ二重フーガになっていて、初めは1・2・3、1・2・3…と、速いテンポで三拍子の音楽が進んでいき、途中から1・2・3の1小節を一つの拍とした大きな三拍子でメインテーマがゆったりと入ってくるというパターンです。
 曲が短いこともあり、「青少年のための管弦楽入門」の迫力にはちょっと負けますが、それでも十分感銘を受けます。

 この曲は編成自体はトランペット3本、ホルン4本、トロンボーン4本等の標準的なものだと思います(楽譜を見たことが無いので断定はできませんが…)。
 そして、吹奏楽に多いパターンですが、パーカッションが多く含まれています。
 中には木魚なんてのもあります。まあ、もっともお寺にあるような大きなものではなく、ずっと小さく、さらに数もたくさん使いますが…
 このパーカッションが彩りを華やかにしています。
 また、吹奏楽とオーケストラとの大きな違いとして、吹奏楽では弦楽器がいないかわりに普段オーケストラでは使われることの少ないサックスやユーフォニウムが常に出てきます。
 これらの楽器がオーケストラにはない響きを出すのに一役かっています。
 中でもユーフォニウムは、チューバの小型版といった感じの楽器なんですが、重要なメロディー楽器で、とても深みのある音です。
 しかもこのユーフォニウム、わたしが吹奏楽をやっていたころ、金管の中の木管と呼んでいましたが、およそ金管と思えないくらい指がよくまわり、速いパッセージを得意としていました。
 同じピストン機構の楽器だったら楽器が小さい分トランペットの方が指が回りそうなものですが、わたしのイメージですと、ユーフォニウムの指の回り具合は驚異的に思えました。
 だって、クラリネットと同じメロディー(確か四分音符=180で16分音符が続くメロディー)を苦もなく吹いているんですから!
 この楽器の一番の問題は製作された年代が遅すぎたということでしょう。
 もっと昔からあればオーケストラでもきっと活躍できたことと思います。

 この曲は作曲者が朝鮮戦争に従軍した思い出として作曲されたのだそうです。
 ちなみに作曲者のチャンスは、この曲の他は「呪文と踊り」で知られていますが、残念なことに40歳で事故死しています。(2000/8/25)


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