I.ストラヴィンスキー バレエ音楽「ペトルーシュカ」

指揮ピエール・モントゥー
演奏ボストン交響楽団
録音1959年1月25・26・28日
カップリングフランク 交響曲
発売BMG
CD番号09026-63303-2


このCDを聴いた感想です。


 なんとも素朴な味わいのある「ペトルーシュカ」です。

 わたしはこの曲をブーレーズとクリーブランド管の演奏(1991年)で最初に聴いてしまったため、これが基準となっているせいもあるのですが、モントゥーの演奏を初めて聴いた時は「随分ラフなアンサンブルだなー」と思いました。
 実際には、第2場・第3場と進んでいくと、それほど怪しげなアンサンブルではないことがわかるのですが、初っ端の第1部の一部が凄まじいアンサンブルのために曲全体までアンサンブルが怪しかったような印象を受けてしまいます。
 この第1部のアンサンブルの酷さはライブでもなかなかないほどで、場所によっては優に一拍はズレてるんじゃないだろうかと思えてくるほどです。
 しかも、テンポを遅めにしているため粗が余計目立ってしまっています。
 他の部分がそれなりにアンサンブルが揃っていることを考えると、なぜこの部分だけこのままにしておいたのか、とても不思議です。スタジオ録音なんですから録り直せば済む事なのに……
 当時のボストン響は、ミュンシュの全盛時代で技術的にはそれほど酷いとは思えませんので、第1部のアンサンブルは、単にモントゥーの指揮に不慣れということかもしれません。
 でも、モントゥーだってボストン響の常任指揮者だったんですけどねぇ……
 まあ、もっともモントゥーが常任指揮者だったのは35年以上も前の事ですから、全く別のオーケストラも同然とは思いますが。

 アンサンブルに較べて、個人のプレイはもっと高いレベルにあると思います。
 特に、第3場のバレリーナが踊る場面のトランペットソロは、音色がとても柔らかくメロディーを魅力的に聴かせてくれます。

 全体的な雰囲気も、キレがあるというより、暖かく柔らかで、1959年という割合初期の頃の演奏にもかかわらず、いかにも「現代音楽」といった冷たさを感じさせません。
 むしろ現代の演奏より、メロディーを重視したもっと歌わせる演奏です。
 もっとも、歌わせるといってもそこはモントゥーらしくというか、ビブラートたくさんかけて豊潤に歌わせることはしないで、素朴な雰囲気を崩さない程度に留めています。

 モントゥーの「ペトルーシュカ」は、おそらくこの演奏よりも1956年にパリ音楽院管と残した録音の方が有名だと思いますが、残念ながらわたしはまだ聴いた事がありません。
 しかし、このボストン響との演奏を聴く限りはかなり期待できそうです。近いうちに手に入れて聴いてみたいと思っています。(2001/8/23)