指揮 | エフゲニー・ムラヴィンスキー |
演奏 | レニングラード・フィルハーモニー管弦楽団 |
録音 | 1961年 |
カップリング | ストラヴィンスキー バレエ音楽「火の鳥」組曲 |
販売 | ビクター |
CD番号 | ICN-9401-2 |
この演奏…1961年の演奏のくせにモノラルです。 まあライブですし、確かにザルツブルク音楽祭のウィーン・フィルなども同年代でモノラル録音というのもありますので、決して珍しいことではないのですが…… しかし、それを考慮しても録音状態は劣悪の部類に入ると思います。 とにかく、音がこもり気味で、ストラヴィンスキーの演奏なのに細かい部分が全然聞こえてきません。せっかく1911年版で演奏しているというのに…(泣) しかも、少しでもフォルテになるとすぐ音が割れてしまうというひどさです。 もう、演奏がどうこういう以前の問題で、おそろしく聴く気をなくします。 わたしは古い録音には聞き慣れているつもりでいたのですが、かなり苦痛です。これが戦前でなく1960年代の演奏ということで余計にガックリきます。 我慢して演奏を聴いてみると、かなり速めのテンポと感じました。 例によって余計な飾り立てをしないので、こういった曲ではちょっと無味乾燥に聴こえます。 これが、もっと録音が良ければ、細かいニュアンスがわかって、いろいろな発見があったとは思うのですが、いかんせんこの録音では、わたしの耳ではとても聴き取れませんでした。 また、ムラヴィンスキーの他の曲の演奏では、楽器間のバランスを調整することで、メリハリや迫力を倍増させていることもあるのですが、この演奏では、マイクの位置が悪いのか、楽器によって聴こえすぎたり、全然聴こえなかったりと、バランスは無茶苦茶です。 しかし、この演奏を聴いてもっとも驚かされたのは、レニングラードフィルの奏者の腕前です。 とてもレニングラードフィルとは思えません(悪い意味で) 一番顕著に表れているのは、第3場のムーア人の部屋のトランペットです。 この踊り子を表しているトランペットのソロは確かに難しいことで有名なのですが、それにしてもこのトランペットはひどすぎます。 音を間違えるのは序の口で、途中でテンポが怪しくなり、最後は指まで回らなくなるという具合で、「このプレイヤーもしかして酔っ払って吹いてんじゃないだろうな〜」と勘ぐりたくなります。 楽器間のアンサンブルは辛うじて水準を保っている程度で、わたしが以前聴いた「ルスランとリュドミラ」序曲の凄さは夢か幻だったのか思ってしまいました。 いや、もしかして、これがレニングラードフィルとムラヴィンスキーということ自体が間違いではないかという気さえしてきます。 とにかく、レニングラードフィルとムラヴィンスキーのイメージを大きく変えさせられた演奏でした。 いままではムラヴィンスキーとレニングラードフィルなら安心して買えたんですが……ハァ〜(溜息)(2000/6/23) |