I.ストラヴィンスキー バレエ音楽「春の祭典」

指揮マイケル・ティルソン=トーマス
演奏ボストン交響楽団
録音1972年1月
カップリングストラヴィンスキー カンタータ「星の王」
発売ポリドール(Grammophon)
CD番号POCG-9270(435 073-2)


このCDを聴いた感想です。


 全てが収まるところに収まり半端なところがありません。
 いろいろな要素が組み合わさって全体を形作っていますが、まるで箱根寄木細工のように、隙間が無くピタリとくっつき、全体も一つの完全な形になっています。
 ゴチャゴチャと絡み合った曲ですから、構造は相当ややこしいはずですが、一つ一つの動きに至るまで、全体の中でその動きがどういう役割なのかを理解して互いに結びついているわけです。
 あいまいなところがなく、非常に鮮明な印象を受けました。
 中でも光っていたのがパーカッションです。
 この曲には、ティンパニーやバス・ドラムを始めとして、山のようにパーカッションが登場しますが、どの楽器も音の粒が鋭く立っています。
 特に、ティンパニーとバス・ドラムは、キレのある音でした。
 硬く、鋭く、輪郭が切り抜いたように明確です。
 鋭くても決して荒くはなく、締まった音で、しかもリズムにきちんと揃っています。
 第1部の「敵対する町の遊戯」のティンパニーあたりはその特徴が最もよく現れています。
 ほとんど当たるを幸い叩きまくりましたと言いたくなるような曲芸的な動きにもかかわらず、正確なリズムで、そこまではまだ他の演奏でもあるのですが、さらに無茶苦茶な動きをしながら一音一音は粒が揃い、その上、鋭く立っているのです。
 この部分、あまりにもティンパニーが強烈過ぎて、他の楽器がどう動いていたか全く記憶に残っていません。
 バス・ドラムは、フォルテよりもピアノの方が印象に残っています。
 フォルテだとどうしてもティンパニーの印象の方が強いもので。
 ピアノでのバス・ドラムは、他の楽器がゴチャゴチャとやっている下の方で、機械のように一定のリズムをとっています。
 その音が、存在感あるのです。
 ピアノですから、決して強い音ではありませんし、音量も他の楽器よりもむしろ小さいぐらいです。
 しかし、硬く鋭い音で、音の出る瞬間だけ少し強く自己主張する動きで、全体のややこしい動きもバス・ドラムの一定のリズムでがっちりと結び付けています。
 このバス・ドラムのリズムによって、全体がまとまっていながらもボールみたいにどこかに転がっていくことなく、まっすぐ前に安定して進んでいるのです。
 パーカッションが印象的な春の祭典というと、わたしはコリン・デイヴィスのコンセルトヘボウ管との演奏が思い浮かびますが、この演奏は、コリン・デイヴィスの重量感とはまた違う鋭さで印象に残りました。
 この演奏は、1972年のボストン響との演奏ですが、ティルソン=トーマスは後の1999年にサンフランシスコ響と再録音しています。この録音はまだ聞いていませんが、なかなか評判良いようで、できれば近いうちに聞いてみたいものだと思っています。(2006/9/16)


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