I.ストラヴィンスキー バレエ音楽「春の祭典」

指揮ズービン・メータ
演奏ロサンジェルス・フィルハーモニック管弦楽団
録音1969年8月11〜13日
カップリングR.シュトラウス 交響詩「ツァラトゥストラはかく語りき」 他
「メータ・スペクタキュラー」の一部
発売キングレコード(LONDON)
CD番号KICC 9027/8


このCDを聴いた感想です。


 たいへんに『原色』を感じさせる演奏です。

 とにかく色彩感があるのですが、フランス音楽に良く見られるような淡いパステル調の色彩や、調和のとれた写実的な色彩とは全く異なる、まるで絵の具の色をそのままベタッとキャンバスに塗りたくったような、シンプルにしてダイレクトな色です。
 その色を、これまた、配色を無視して好き勝手に並べたように、色の鮮やかさと共に乱暴さとドギツさが同居しています。
 これはもう『洗練』の対極で、『野蛮』な匂いが色濃く漂っています。
 鮮烈で荒々しく、理性よりも本能に訴えかけてくる演奏です。
 ただし、野蛮だからといって、演奏が雑という意味ではありません。
 各プレイヤーは上手く、技量に問題はありませんし、アンサンブルも、一部怪しげなところもあるものの、全体的にはきちんと揃っています。
 しかし、響きだけは、各楽器の音色をブレンドさせて全体で大きな一つの響きにするのではなく、わざと個々の楽器の音色をそれぞれストレートに出させています。
 そのため、アンサンブルとしてはまとまっていながらも、統一感が薄く、逆に言えば、生々しく荒々しい音となって聞こえてくるのです。
 この響きは、「春の祭典」の野蛮な面を、より輝かしく強調しています。
 血湧き肉躍る興奮、噴き出るエネルギー、その熱狂ぶりは、原始からの本能を呼び起こし、正に『儀式』という非日常的な世界を目の前に描き出しています。(2003/5/17)