團伊玖磨 祝典行進曲

指揮レイモン・リシャール
演奏パリ・ギャルド・レピュブリケーヌ吹奏楽団
録音1961年11月16日
カップリングミロ 「ミシェル・ストロゴフ」他
「祝典行進曲<栄光のパリ・ギャルド>」より
発売東芝EMI
CD番号TOCE-6358


このCDを聴いた感想です。


 今回は、日本の行進曲の中でも、わたしが最も好きな曲の一つである團伊玖磨の祝典行進曲です。
 行進曲というと、旧軍隊や自衛隊のために作られたものも少なくありませんが、この行進曲はそういう目的ではなく、昭和34年の当時の皇太子(現今上天皇)のご成婚を祝って作曲されたものです。
 ちなみに、團伊玖磨は平成5年の現皇太子ご成婚の際にも「新祝典行進曲」を作曲しています。
 話を旧(?)祝典行進曲の方に戻しますが、わたしは当時まだ生まれていなかったため、ご成婚がどうこうという時代背景はほとんどわからず、単純に曲調だけで好きになりました。
 なかでも特に惹かれたのがメロディーの多彩なところです。
 メインのメロディーの上へと昇っていく伸び伸びとした雰囲気、それを受ける二番目のメロディーも、主旋律と同じくらい明るいのにこちらは優雅なゆったりとした雰囲気があり、明るさはそのままにちゃんと違いが付けられていますし、これが三番目のメロディーまで来ると、少し暗くして不安感を出すなど一旦落としておいて、またメインのメロディーに戻り、しかも最初に登場する時よりも華やかさが数段アップしていたりと、バラエティに富んでいます。
 さらに、それ以上に多彩なのがトリオです。
 トリオで登場するメロディーは、対旋律も含めてほぼ全て、千両役者が揃っています。
 明るく激しい雰囲気と優しい雰囲気が交互に登場するもの、優雅ながら明から暗にしだいに落ちていくもの、金管の格好良いファンファーレ風の対旋律など、一つの曲に全部使ってしまうなんてなんて贅沢なんだと思ってしまうぐらい、魅力的なメロディーが次から次へと登場します。
 一方、曲全体の響きはかなり分厚く、マーチングバンドよりもむしろシンフォニック・ウインドアンサンブル(いわゆるコンサートバンド)に向いた、マーチにしてはかなり重厚なものです。
 ただ、他のバンドの演奏と違い、この演奏だけは、フランスの吹奏楽団らしく響きはあまり厚くなっていません。むしろ極力薄く風通しを良くして、軽くしています。
 曲全体がキラキラと華やかな雰囲気で重厚さが無くなってしまい、その点少し好みが分かれると思いますが、わたしはそういう演奏は結構好きです。
 さらに、この演奏の強みはメロディーの歌わせ方にもあります。
 特にサックス辺りなど、ビブラートを多めにかけ、少し鼻に掛かった少し気取った音色でゆったりと歌わせているあたりは、他の団体ではとても出せそうに無い優雅で華やかな雰囲気があり、思わず骨抜きにされてしまうぐらい魅力的でした。

 ちなみに、このCDには祝典行進曲の他にも、「軍艦行進曲」や「コバルトの空」などの日本の行進曲がいくつか収録されているのですが、それらはギャルドの日本公演の際に東京(杉並公会堂)で録音されたものとの事です。(2004/9/4)


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