大栗裕 吹奏楽のための「大阪俗謡による幻想曲」

指揮朝比奈隆
演奏大阪市音楽団
録音1992年4月15・16日
カップリング大栗裕 吹奏楽のための小狂詩曲 他
「ジャパニーズ・バンド・ミュージックIV 大栗裕 作品集」より
発売東芝EMI
CD番号TOCF-6018


このCDを聴いた感想です。


 サイトを開設して2年が過ぎて、初めて朝比奈隆が登場した……と思ったらドイツ物じゃ無いんかいっ!! ……というツッコミは無しにしてくださいね(笑)
 日本の作品だって朝比奈隆の立派なレパートリーなんですから。ね。

 実際、この曲は朝比奈隆と浅からぬ関係があります。
 作曲者の大栗裕と朝比奈隆は両者とも大阪出身で年齢も10歳ぐらいしか違いません。
 ……朝比奈隆の方が11歳年上なのですが、若い方の大栗裕が20年も前に他界しているというのが残念なところです……
 この『吹奏楽のための「大阪俗謡による幻想曲」』は、もともとオーケストラ用の『管弦楽のための「大阪俗謡による幻想曲」』として1955年に作曲され、その初演をしたのが朝比奈隆だったのです。ちなみにオーケストラは関西交響楽団(現在の大阪フィル)でした。
 その後、この演奏のオーケストラ(になるのかな?)の大阪市音楽団より作曲者へ依頼され、1974年に『吹奏楽のための「大阪俗謡による幻想曲」』へ編曲されたのです。(この時の初演者は朝比奈隆ではありません)
 ちなみに管弦楽版のほうは、朝比奈隆は海外の演奏会でもよく採り上げ、ベルリン・フィルとも演奏しています。
 そして、この演奏を聴いた音楽評論家によって、大栗裕に『東洋のバルトーク』というキャッチフレーズが生まれたのです。

 さて、この曲の構成は「緩−急−緩−急」なのですが、最初の「緩」の部分は序奏で、メインは「急−緩−急」となっています。
 全体的に日本的な雰囲気が満載なのですが、特に「急」部分には、実際に祭りで使われている民謡をそのまま生かしているもの大きな特徴です。
 わたしは大阪の人間でないため、大阪の祭りには詳しくないのですが、解説書によりますと、夏の風物詩「天神祭り」や、同じく夏の祭りである「生国魂神社の夏祭り」のメロディー等が使われているとの事です。
 なかでも「天神祭り」の地車囃子(だんじりばやし)のリズムは非常に印象的で、勇壮な趣があり、全曲の雰囲気を決定付ける大きな要因になっています。
 一方、「緩」の部分では、木管楽器のソロを主体として、民謡調というより日本古来の旋法(おそらく律旋法だと思います)に基づいたしみじみと聴かせるメロディーが表れます。
 さらに最後のクライマックスでは、テンポがどんどん速くなっていき、まるで祭りの熱狂振りをそのまま表現しているかのようです。

 演奏している「大阪市音楽団」は、東の「東京佼成ウィンドオーケストラ」と並び賞される、日本の吹奏楽団の雄です。
 技術力の方も名声に違わず、この曲においても安定した実力を発揮しています。(2001/10/19)


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