H.ベルリオーズ 「ローマの謝肉祭」序曲

指揮マリス・ヤンソンス
演奏ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団
録音1991年6月
カップリングベルリオーズ 幻想交響曲
発売EMI
CD番号5 85041 2


このCDを聴いた感想です。


 ヤンソンスは2006年現在のコンセルトヘボウ管の常任指揮者です。ただ常任になったのは2004年からですから、この録音は常任になるはるか昔、前任者のシャイーですら就任してやっと3年ほどで、10年以上後に自分が常任になるなんてヤンソンス本人も予想していなかったでしょう。
 さて演奏の方ですが、きれいで……なにより穏やかです。
 ローマの謝肉祭という題名ですが、あまり祭りらしい賑やかで騒がしい雰囲気はありません。
 といっても、フォルテで迫力が無く大人しいということではなく、後半の速いテンポの部分などは、リズムの切れも良く、アクセントもちゃんと利いています。力強さも十分に備えています。
 ただ、良くも悪くもきれいなのです。
 和音がキチンと合った透明度の高い響きで、これはたしかに美点でもあるのですが、どうも祭りのイメージとは少しずれているように思います。
 祭りというと、もっとゴチャゴチャと混乱した中でエネルギーがあちこちから噴き出して来るといった、「混沌と活気」というイメージがあります。まあ非常にステレオタイプの発想ですが。
 しかし、この演奏は調和が行き届きすぎて、全てが整然としているため、破天荒な勢いが無いのです。
 活気よりも美しさなのです。
 この特徴は、後半の速いテンポの部分よりも、前半の冒頭の速い部分を抜けた後のゆったりとした部分で、より良さが表れています。
 タンバリンなどの細かいリズムの上を、イングリッシュホルンから始まるゆったりとしたメロディーが続く部分は、まさに悠然とした穏やかな雰囲気で、これが曲に良く合っています。
 メロディーの息が長く、伸び伸びと歌っていて、寝転がって秋の空を見るように、高く上っていきます。
 さらに、同じメロディーがフーガのように時間を遅らせて絡み合っていくところなどは、音楽がどんどん広がっていくような感じがして、なんだか心豊かになってきます。
 少しぐらい活気が無くても、こういう高さと広がりを持つ響きによって、十分好印象が感じられた演奏でした。(2006/10/14)


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