H.ベルリオーズ 「鬼火のメヌエット」「妖精の踊り」「ラコッツィ行進曲」(劇的物語「ファウストの劫罰」より)

指揮ウィレム・メンゲルベルク
演奏アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団
録音1943年3月21日
発売及び
CD番号
キング(KICC 2055)
Q DISC(97016)


このCDを聴いた感想です。


 メンゲルベルクはファウストの劫罰からの管弦楽曲の録音を、ラコッツィ行進曲のみの映像などもひっくるめれば4種類遺しています。この演奏は、その4種類の中で唯一のライブ録音。しかも最も晩年の録音です。
 まあ録音年代から言えば、この一つ前のスタジオ録音の年代は1942年。しかも4月ですから、一年も違わない(ほぼ丸一年くらいですか)わけです。
 演奏も、だいたい同じ傾向ですが、それでもスタジオとライブという違いは多少出ています。といっても、スタジオとライブと差として挙げられるほぼ定番どおりですが。
 スタジオ録音の方が音が鮮明で、アンサンブルも良く整っています。それに較べてライブの方は、音は雑音だらけでアンサンブルも多少怪しいところがありますが、勢いと迫力があります。
 この特徴が一番強く表れているのがラコッツィ行進曲です。
 曲の始まりは、スタジオ録音とあまり差が無く、わりと整っているのですが、曲が進むにつれだんだん勢いの方が勝ってきます。
 終盤ではテンポを加速して一気に盛り上げ、そこまではなんとかオーケストラも付いて来ており、アンサンブルもほとんど乱れず揃っていますが、終わりから8小節前からの3小節間で急にテンポを落とすという荒業にはさすがにテンポをつかみきれず、打楽器あたりはかなり豪快にテンポから乗り遅れています。いや、たしかに以前のスタジオ録音でも同じようにテンポを落としているので、演奏者もわかっていたはずです。しかし、そこまで思いっきり引っ張るとは予想をはるかに超えていたのでしょう。途中でタイミングを見失ってしまって遅れてしまったのではないでしょうか。いかにもライブらしいといえばライブらしいところです。
 さらにその後から最後までの5小節間を、また速いテンポに引き戻して激しい差をつけることで、より劇的に盛り上がっている点もライブならではでしょう。

 一方、「妖精の踊り」と「鬼火のメヌエット」にはライブらしい流れの良さがありました。
「妖精の踊り」はスタジオ録音の時に感じた幻想的な雰囲気は、録音があまり鮮明でないこともあってあまり感じられませんでした。その代わりにより力強くなり、前へ真っ直ぐ進む太い流れがあります。フワフワと軽いのではなく足を地に付けたような安定感を感じます。
 また、「鬼火のメヌエット」は、後半にフォルテで一気に盛り上げる動きがいろいろ登場し、その激しさは録音の不利をものともせずスタジオ録音を上回っています。
 フォルテ以外でもピアノ部分でのアクセントなどは、重みと弾力があり、体重をかけて跳ねるよう様な雰囲気が良く出ていますが、やはり録音があまり良くなく、柔らかさなどの細かいニュアンスがもう一つ伝わってきづらいところが残念です。(2006/1/7)


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