G.マーラー 交響曲第4番 ト長調

指揮エドゥアルト・ヴァン・ベイヌム
独唱ソプラノ:マーガレット・リッチー
演奏アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団
録音1951年9月
カップリングシベリウス 交響詩「エン・サガ」
発売ポリグラム株式会社(DECCA)
CD番号POCL-4590


このCDを聴いた感想です。


 ヴァン・ベイヌムはメンゲルベルクと異なり、マーラーの演奏が最も高い評価を受けた訳ではなく、むしろ、ブルックナーの演奏で知られています。
 ヴァン・ベイヌム自身、それほど多くの録音を残していませんが、マーラーはこの第4番と「大地の歌」の2曲を録音しているに過ぎません。
 メンゲルベルクが唯一残した全曲録音が第4番だけ、そして、ヴァン・ベイヌムが残した2曲の内、 片方が同じ第4番というのは、なかなかおもしろいと思います。
 メンゲルベルクがマーラーを得意としていたのをよく知っていたはずのヴァン・ベイヌムが、同じ第4番を録音しようとした意図は何でしょう?
 可能性その一。マーラーの第4番についてのオーケストラの技量を新しい録音に留めておきたかった?
 可能性その二。メンゲルベルクとはまた別のアプローチがあることをアピールしたかった?
 ……まあ、実際のところは、第4番が最も編成が小さいので録音しやすいから、といった理由でしょうけど(笑)

 理由はともかく、同じオケで10年、間が空いて、しかも指揮者が変るとどうなるか? というのを比較するには絶好の演奏です。

 で、聞いた瞬間……
 指揮者の個性やオーケストラの技量はさておき、思ったのは「10年間でのテクノロジーの進化って凄いんだなー」ということ(笑)
 古い方がライブ録音で、新しい方がスタジオ録音という点を差し引いても、鮮明さの違いにはビックリさせられました。
 「録音技術って10年間で急速に発達したんだな〜」ということをシミジミと感じさせてくれます。
 確かにメンゲルベルクの録音も、当時としては非常に優秀な録音で、細部も鮮明に聞こえるのですが、新しい録音とはさすがに比べ物になりません。
 ヴァン・ベイヌムの録音は、より一層クリアに、細部のニュアンスまでバッチリ。そして何と言っても一番違うのは音の拡がりです。
 奥行きが全く違うのです。メンゲルベルクの演奏が、奏者が横一線に並んでいるかのような印象を受けるのに対して、ヴァン・ベイヌムの演奏では、奏者が平面的に並んでいるように感じられるのです。……といってもモノラルですが(汗)
 まあ、もしかしたら、違いが出た一番大きな理由は、ヴァン・ベイヌムの演奏はDECCAによって録音されているって事かもしれませんが(笑)

 では、気を取り直して演奏の方ですが
 予想通り、ヴァン・ベイヌムの方がテンポの伸び縮みは少なく、アッサリしています。
 しかし、マーラーの指示は、ヴァン・ベイヌムの演奏の方がよくわかります。
 そのため、聴いていても、「ああそうか。マーラーはこういうことがしたかったんだ」と頷ける部分が多くあります。
 また、メロディーにしても、「歌わせるがくどくなり過ぎない」という中庸を保つことで、「自然だけど飽きさせない」演奏になっています。
 そして、この演奏でわたしがもっとも好きな点は、「スッキリ」と「安らぎ」の調和というところです。
 この演奏は、優しさに充ちています。聴いていて「安らぎ」を感じます。
 しかし、それだけでは緊張感の無い演奏になってしまいます。ところがそこに「スッキリ」という涼しさが入ることで程よい緊張感が生まれるのです。
 …って、こんな文章でニュアンスがちゃんと伝わってるんでしょうかねぇ(笑)(2001/01/05)


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