指揮 | ズービン・メータ |
出演 | ソプラノ :リアナ・コトルバス コントラルト:クリスタ・ルードヴィッヒ |
演奏 | ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 ウィーン国立歌劇場合唱団 |
録音 | 1975年 |
カップリング | F.シュミット 交響曲第4番 |
発売 | DECCA |
CD番号 | 440 615-2 |
この<復活>という曲は、演奏時間が80分前後もかかるような長い曲です。 わたしは、ブルックナーの場合と異なり、マーラーの場合、このように長い曲だと、聴いていていつも途中で退屈になっていました。 このメータの演奏は、<復活>の最初から最後まで飽きず聴くことができた初めての演奏です。 この演奏を聞くことで、初めてこの<復活>の曲の魅力がわかったような気がします。 では、この演奏は、聴く者を飽きさせないように、いろいろいじくりまわしているのかといいますと……そうではありません。 若干表現方法を変えてある部分があるとはいえ、テンポといい音符といい、目立って変更されている部分はありません。 そういう意味では、ごくごく普通の演奏です。 わたしが、この演奏で最も魅力を感じたのは表現力です。 これは、決して色彩豊かという意味ではありません。 ウィーン・フィルということもあり、個々の楽器の華やかさは強調されておらず、統一感の方が表に出てきています。 ここでいう表現力とは、表情を作り出す力です。 わたしのマーラーの聴き方はちょっと偏っており、曲や楽章全体の構成はとりあえず置いておいて、部分部分でのいろいろ異なった表情を聴くのが好きなのです。 メータの演奏は、この表情の表し方がとても巧みで、その場その場に相応しい雰囲気を見事に醸し出しています。 これが、全曲を通じて次々と変わっていくため、飽きっぽいわたしでも、存分に楽しむことができるのです。 特に第2楽章や第3楽章で多くあらわれる、ゆったりとした幻想的な雰囲気は絶品で、知らず知らずのうちに曲の中に引き込まれていきます。 では、第4楽章や第5楽章は神秘的な雰囲気が存分に表れているかというと、実は、少なくともわたしはあまり神秘的や荘厳さというのは感じられませんでした。 しかし、神秘性を無視してより歌わせることで、違う魅力が生まれています。 静的な荘厳さより、動的な活き活きとした楽しさが表れているのです。(2001/3/23) |