G.ガーシュウィン ラプソディー・イン・ブルー

指揮ポール・ホワイトマン
独奏ピアノ:ジョージ・ガーシュウィン
クラリネット:ロス・ゴーマン
演奏ポール・ホワイトマン・オーケストラ
録音1924/6/10
カップリングHang on to Me 他
「GEORGE GERSHWIN plays GEORGE GERSHWIN」の一部
発売Pearl(Victor)
CD番号GEMM CDS 9483


このCDを聴いた感想です。


 作曲者であるガーシュウィン自身がピアノを演奏した自演の録音です。
 ラプソディー・イン・ブルーの自演の録音には、1927年にピアノロール(自動演奏ピアノ)に記録したものと、1928年にアンダンテ部分だけを抜粋したものとの、ピアノのみの録音が2種類がありますが、それらとは別にオーケストラと共演した演奏も2種類残っています。
 最初の録音は、初演された年の1924年のもので、2回目は、電気録音の時代に入った1927年に録音されたものです。
 ちなみに、最初の1924年の録音の録音月日ですが、CDのブックレットの曲目一覧によると「10.Oct '24(1924年10月10日)」となっています。しかし、解説本文中では、「10th June 1924(1924年6月10日)」と書いてあります。どちらが正しいかはわかりませんが、本文中にわざわざ「初演された2月12日のちょうど4ヶ月後に最初の録音がされた」と書いてあるので、とりあえず6月10日説を採用しました。
 さて、その最初の録音である1924年の演奏は、現在一般的に演奏されているオーケストラのための編曲(1942年グローフェ編曲)と異なり、初演された時の編成である、小編成のジャズ・バンドとの共演によるものです。
 電気録音以前の機械録音によるものだけに、音は貧弱で雑音も多いという劣悪な状態ながら、小編成ということも幸いしてか、雰囲気は意外なほどよく伝わってきます。
 印象としては、ソリストたちが次々と腕前を披露する、大セッションといった感じです。
 なにしろ機械録音だけに、鳴っている音を響きまで含めて全体を記録することなんてとても不可能で、どうしても、メロディーを演奏するなどその時点で主役となる楽器をピックアップして録音するしかありません。さすがに主役であるピアノだけは平均的に聞こえてきますが、ピアノ以外は聴こえてくる時はその楽器がソロの時。つまりソロが代わる代わる急に登場してくるように聴こえます。ソロ以外となると、何か後ろの方で鳴っているのが辛うじて聴こえるぐらいなので、もうソロに注目するしかないわけです。
 ただ、このそれぞれのソロが揃い揃って個性的なのです。
 音色からして、透明感のある音とか真っ直ぐな音といった形容とは真逆の、鼻にかけてビブラートなどもたっぷり載せた遊んだ音で、聴く者をニヤッとさせてやろうという意気にあふれています。テンポも伸び縮みは当たり前、めいっぱい歌いに歌った挙句、どうだとばかりに次のソロに受け渡し、受け取った方も、前の流れを受けつつ、さらにもう一捻りするという、まさにワクワクしてくる展開を繰り広げていきます。
 もちろん楽譜があるわけですから、大きな全体の流れは決まっています。どんなに寄り道しようとも、節目節目では必ずそこに帰ってくるので、完全な即興のように明後日の方向に行ってしまうことはありません。しかし、ピアノソロなどは作曲者本人であることもあって即興で賄った部分も結構あったそうで、その場の雰囲気で楽譜を超えて新しい音楽が生まれてくる、まさにジャズ・バンドの生のセッションのようなノリが感じられます。
 2回目の1927年の録音の方は、たった3年後の録音とはいえ、機械録音と電気録音の差は大きく、1回目に比べてはるかに聴きやすいものです。それにノリの良さも、多少は薄れたとはいえまだまだ十分に健在です。
 ただ、聴いていて、この先はどうなるんだろうと、常にワクワクしてくるというのは、録音の劣悪さを乗り越えて、1回目の方なのです。(2011/9/24)


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