G.F.ヘンデル 第4曲「こうして主の栄光が現れ」(And the glory, the glory of the Lord)
 第39曲「ハレルヤ」(Hallelujah)
〜オラトリオ「メサイア」より〜

吹奏楽伴奏版?

指揮H.A.フリッカー
演奏不明
リーズ祝祭合唱団 (Leeds Festival Choir)
録音1907年
発売Koch(Gramophone Monarch)
CD番号3-7703-2Y6x2


このCDを聴いた感想です。


 メサイアの合唱曲としては、わたしが持っている演奏の中で最も古い録音です。もしかしたらわたしの知らないもっと古い録音があるのかもしれませんが、少なくとも最初期の録音であることは間違いないと思います。
 録音年は1907年。今(2008年)から100年以上前で、元号では明治40年ですから日露戦争が終わってまだ数年といったところでしょうか。それこそ歴史の教科書で知るレベルの時代の音が現在で聞けること自体、改めて考えてみれば驚きです。
 しかし、残念ながら鑑賞するというには少し苦しい音質です。
 演奏を聴く以前に、まず雑音の壁を突き破らなければなりません。
 たしかに、19世紀の録音であるマクファーランドの演奏のように横で焚き火でもしてるんじゃないかと思うほど盛大にパチパチ聞こえるわけではありませんが、常にシャーという音が幕のようにかかっていますし、かなり少なくなったもののパチパチという音も当たり前のように聞こえてきます。
 その分厚い雑音の壁をかき分けて演奏にたどり着いたとしても、機械録音時代の悲しさ、一度に聞こえてくる音は、よくて二つか三つ。メロディーなどの動きは、同時に出てきてもまだ少しは聞き取ることはできますが、和音に至っては、「そういえば和音に聞こえるような気がする。楽譜上この合唱は和音だから、和音に聞こえるはず。そうに違いない」と、想像力を最大限に活躍させて空耳で補う必要があります。
 同じ時代の録音でも、歌手単独のソロならば、そこを重点的に録音できるため、全体の音は貧弱でも意外なほど雰囲気は伝わってくるものですが、合唱やオーケストラはさすがに苦しいです。
 この録音を聴いても、わかるのはテンポの変化と多少のダイナミクスと、ごくごく一部の編成ぐらいでしょうか。
 第4曲の「こうして主の栄光が現れ」の方は、テンポがちょっと遅めで、じっくりと演奏しています。マイクに音を入れる都合もあるのでしょうが、一音一音をはっきりと分け、その音をしっかりと力を込めて歌っています。
 伴奏のほうは、木管はクラリネットばかり聞こえ(吹奏楽版ならむしろ当然ですが)、後はなんとなくチューバなどの金管も聞こえてきます。本当は厚い伴奏なのかもしれませんが、ほとんど主旋律と通奏低音だけしか聞こえず、結果としてかなりすっきりとした伴奏になっています。
 第39曲の「ハレルヤ」も演奏スタイルはほとんど同様です。こちらは合唱と伴奏のバランスとしては、だいぶ合唱が強く、伴奏は本当におまけ程度でしかありません。合唱は、一応、なんとなく和音に聞こえるのですが、残念なことに音がマイクに入りきれなかったのか、どうも割れ気味でただでさえ聴き辛い録音がさらにハードルが上がっています。
 また、ハレルヤの方は、一部カットがあります。ソプラノとアルトが「King of Kings and Lord of Lords」と歌い、その後にトランペットがソファミレ(Dをドとしています)と音階で下がってくる部分(第57小節)がありますが、本来は、その後はソプラノだけになって「King of Kings」と続くはずですが、そこで終盤のテナーとバスによる「King of Kings」(第74小節)まで跳んでいます。
 まあ、カットの有無は別にしても、さすがに録音が古すぎて、愛聴盤にしたり人にお勧めしたりするような演奏ではないと思います。やはり資料的に貴重であるという点に価値を見出す録音でしょう。(2008/11/8)


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