G.F.ヘンデル オラトリオ「メサイア」

指揮ジョン・エリオット・ガーディナー
出演ソプラノ  :マーガレット・マーシャル
メゾソプラノ:キャサリン・ロビン
カウンターテナー:チャールズ・ブレット
テノール  :アンソニー・ロルフ−ジョンソン
バス     :ロバート・ハレ
ボーイソプラノ:ソウル・キルケ
演奏イギリス・バロック管弦楽団
モンテヴェルディ合唱団
録音1982年11月11〜20日
発売PHILIPS
CD番号434 297-2


このCDを聴いた感想です。


 オリジナル楽器による演奏です。
 以前、ビーチャムの演奏をメサイアの中でトップクラスの派手さと書きましたが、この演奏は、外面的な派手さを追及した演奏ではありません。
 オリジナル楽器ということもあり、編成も小さく、音の分厚さという点では、ビーチャムには遠く及びません。
 しかし、この演奏は決して小さくこじんまりとまとめた演奏ではありません。
 たとえ編成が小規模でもこの演奏からは、かなり迫力が感じられます。
 そして、迫力と同時に演奏のキレの良さをよりいっそう感じます。
 たとえば、合唱にしても、非常にテクニックがあり、ピッタリ揃っているのですが、綺麗さという点ではトレヴァー・ピノックが指揮した合唱の方が勝っているように思えます。
 特に、ピノックの方で感じられた天使的な美しさというのは、この演奏の合唱からは感じられません。
 しかし、この演奏にはピノックの方には無い、切れの良さや迫力と、何よりも、前に進むという意志を強烈に感じます。
 これにより、十分に綺麗にも関わらず非常に躍動感に溢れた勢いのある演奏になっています。

 この演奏の好きな部分として、まずは牧歌の次ぎの第14曲目にあたる、羊飼いがいるところへ天使が降りてきて、「今日、ダビデの町でキリストがお生まれになった」と告げる場面があります。
 この語りの部分は譜面上はソプラノが担当して、(わたしが聴いたことが有る他の演奏では全てソプラノが担当しているのですが、この演奏ではボーイソプラノが担当しています。
 実はボーイソプラノの出番はこの部分だけなのですが、このボーイソプラノがまさに天使の声のように純粋です。
 そしていかにも聖書の出来事のように、天国的な雰囲気が満ちています。

 そして二つ目は有名な「ハレルヤ・コーラス」です。
 このメサイアの中でも一二を争う華やかな曲を、ガーディナーは、なんとピアノで始めています。
 初めて聴いたときは、オヤッ?っと思ったものですが、ピアノで始まることで、逆に緊張感が生まれ、それがだんだん盛り上がって行くことで、どんどん迫力が増してきます。
 曲の始めの部分と終わりの部分で、ダイナミクスにかなり差が出てきて、小規模な編成とは思えないような力強さが感じられます。

 そして最後が、曲の中でも最後の「アーメン・コーラス」です。
 他の演奏では、この部分はフォルテとは言わないまでも、メゾフォルテ以上のちょっと強めの始まり方をしています。
 ところが、この演奏はピアニッシモぐらいのごく弱い音で始めています。
 この微かに聞こえる合唱は、ハッとするくらい綺麗です。
 この「アーメン・コーラス」の直前の部分がかなり華やかで力強いため、その対比で、まるで現実世界から遠く離れた夢の中のような感じがします。

 この演奏を聴いてから、わたしは、ガーディナーの演奏に興味を持ち、他の曲も聴いてみようかなって気になっています。(2000/1/29)


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