G.ビゼー 交響曲

指揮ジャン=バティスト・マリ
演奏パリ音楽院管弦楽団
カップリングピエルネ 「ラムンチョ」序曲
録音1961年
発売MANDARA(harmonia mundi)
CD番号MAN 4805


このCDを聴いた感想です。


 フランスのオーケストラらしく軽い音ながら、サラッと流してしまうのではなく、リズムをしっかりと刻んだ落ち着いた演奏です。
 テンポは心持ち遅めですが、音が短く硬いためにリズムが立ち、鈍重ではありませんし、地味でもありません。硬い音で鋭く刻み、でも響きはフワッと軽いのです。
 その一方で、フォルティッシモやアクセントなどのここぞというポイントではある程度重さもつけて強調し、メリハリもつけています。
 例えば第1楽章にはフォルテの指定とフォルティッシモの指定の両方があちこちに登場しますが、この差はかなり明確に付けられています。フォルティッシモでは衝撃的に重みのあるアクセントをつけているのに、フォルテはずっと軽くほとんどメゾフォルテぐらいに落とすことで、フォルティッシモのインパクトをより強めているのです。
 また、第2楽章では、中間部の弦楽器がフーガのように順番に登場する部分でのメロディーに、途中で音が8分音符でオクターブ上に上がるところがあります。この上がった音はアクセントがついているのですが、これがかなり強調され、それまでずっと弱いピアノだったのがそこで急にフォルテになったみたいに聞こえます。メロディーがパートによって少しずつずれて始まっているのでアクセントもずれて次々と登場し、聞いているとアクセントだけが浮かび上がり、それがシンコペーションのリズムのように聞こえ、メロディーよりもむしろ印象的でした。
 こういった音楽の作り方に興味を惹かれる一方、やはりフランスのオーケストラならではの音色もこの演奏の大きな魅力の一つです。
 第2楽章には、それこそソリストとして名前が掲載されてもおかしくないぐらいのオーボエの大きなソロがあります。縦にはあまり響かせない薄く平たい音に軽くビブラートをかけ、なだらかに大きく歌わせています。ごてごてとした表情付けをせず、音色と細かいニュアンスの変化だけのスマートな歌わせ方で、心に染み入るというよりもセンスの良さに感心しました。続く弦楽器のメロディーも重さを極力カットした薄く軽い音で、ビブラートで表情をつけてなだらかに広がるように歌わせています。
 音色ではホルンも忘れられません。第1楽章の呈示部の繰返し部分を越えて展開部に入ったところの3番ホルンと1番ホルンのソロなどでよくわかります。これまた響きの上澄みだけすくったような薄く軽い音で、こちらはビブラートを強めにかけ、空に漂うようなフワッとした感覚を楽しめます。
 この曲のフランスのオーケストラによる演奏では、ビーチャムのものやミュンシュのものなど名演も多いのですが、この演奏も、いかにもフランスらしい軽い音にリズムをきっちりと刻んだ演奏としてなかなか面白い存在です。(2007/1/13)


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