G.ビゼー 小組曲「子供の遊び」

指揮ジャン・マルティノン
演奏パリ音楽院管弦楽団
録音1960年6月
カップリングイベール ディヴェルティメント 他
発売DECCA
CD番号448 571-2


このCDを聴いた感想です。


 一曲目の「行進曲」のトランペットの鳴りっぷりには驚きました。
 始まりの低い音からしっかりと鳴り切った太い音で、朗々と響き渡っています。
 メロディーではなく合いの手のファンファーレなのに、ほとんど主役と言って良いぐらいです。
 あまりにも太い音で鳴っているため、半ば本気でナチュラル・トランペットを使っているのではないかと疑いたくなりました。まあ、いくらナチュラル・トランペットに伝統あるフランスのオーケストラといえども、さすがに時代的に無理があるでしょう。
 その伝統からの流れによるものか、他の指揮者でも、フランスのオーケストラの演奏は、わりとトランペットの音が太めです。しかし、その中でも、このマルティノンの演奏のトランペットは、最も太く鳴り響いています。
 伴奏、というか本来なら主役であるはずのメロディー+その他も、決して地味ではありません。スパッとキレのある音で、キビキビとしています。しかし、ひとたびトランペットが登場すると、そちらに全て持っていかれてしまいます。まるでトランペット協奏曲並です。とにかく、トランペットのインパクトが強すぎて、一曲目を聴き終わった後は、トランペットが素晴らしい鳴りっぷりだったという印象しか残りませんでした。もっともそれだけ印象が強ければそれでもう十分元が取れた気になりますが。
 一曲目以外では、印象に残ったのは五曲目の「ギャロップ」でしょうか。
 とにかく速い。
 それも、新幹線みたいに一糸乱れず平然と高速で進むのではなく、いかにも急き立てられているような緊張感があります。まさにギャロップというタイトルそのままです。
 さらに終盤のcon furia(おそらく『熱狂的に』ぐらいの意味だと思います)の指示があるところからは、まるで足元に火がついたかのように、ほとんど浮き足たたんばかりの勢いで突き進んでいきます。
 整然という言葉とは丸っきり正反対の演奏ですが、むしろ曲の雰囲気にはピタリと合っています。
 二曲目の「子守歌」と四曲目の「二重奏曲(小さな旦那さま、小さな奥さま)」のような弦楽器中心の曲は、サラサラとした薄い響きで、全体に薄い膜がかかったように淡い色彩です。メロディーは歌っていますが、あくまで薄い響きがベースにあるため、表情はそれほど濃くなく、フワリと滑らかな音楽になっています。
 三曲目の「即興曲(こま)」が一曲目と五曲目と似た激しい曲ですから、一、三、五曲目とその間に挟まれた二、四曲目の雰囲気の差はかなり大きく、その対照性が強く出ているため、激しい曲は実際の演奏以上に激しく、穏やかな曲は実際以上に穏やかにと、特徴がくっきりと浮かび上がっています。

 ちなみに、マルティノンはこの曲を後(1971年)に再録音しているようです。そちらの演奏のオーケストラはフランス国立管らしいのですが、残念ながらまだ聴いていません。そちらもフランスのオーケストラですからきっと面白いのではないかと思っています。近いうちに手に入れたいものです。(2009/8/15)


サイトのTopへ戻る