G.ビゼー 歌劇「カルメン」

指揮ジョルジュ・プレートル
出演カルメン:マリア・カラス
ホセ:ニコライ・ゲッダ
演奏パリ国立歌劇場管弦楽団
ルネ・デュクロ合唱団
ジャン・ペノー児童合唱団
録音1964年7月6〜18日
発売東芝EMI
CD番号CE22-5949・50


このCDを聴いた感想です。


 まさしく『マリア・カラス』のためにある録音と言っても過言ではないでしょう。

 この録音当時マリア・カラスは41歳。もちろん全盛期の頃とは比べるべくも無いでしょうが、それでもなお、その歌声はとても魅力的です。
 もう聞いた瞬間に、他の人とはっきり違いがわかります。
 では綺麗な声か? という問いには素直には頷けません。
 かなり鼻にかかったような声で、間違えても天使のような心洗われるような声というわけではありません。
 もちろん、これは「カルメン」という役の性格上、清純そうなお嬢様ではイメージが壊れてしまうという理由もありますが、カラスの声はカルメンの性格をそのまま表したかのような激しい感情がこもっています。
 ミカエラ役のアンドレア・ギオーが天使のような澄んだ歌声なのと好対照で、ミカエラが綺麗な声であればあるほど、カラスのカルメンの情熱的な性格の魅力がより際立ってきます。
 カラスの演じるカルメンは、わたしが今まで聴いたカルメンの中で、最も自分の感情をストレートに相手にぶつけるカルメンです。
 さらに、カラスの鼻にかかった音色自体が魅力的でもあります。
 例えば第2幕最初のジプシーの歌などにその魅力がよく表れています。
 フレーズの最後のような伸ばした音において、カラスの声は横に拡がったような音色になります。
 普通、横に伸びる音色は底が浅くなり、聴いていて単調に感じることが多いのですが、カラスの声は横に拡がっているにもかかわらず単調にはならず、逆により一層引き込まれていくような魅力があります。
 これだけは他の人には決して真似ができないことでしょう。

 さて、カラスについてばかり書くのも気が引けますので、バックの演奏についても少し書きたいと思います。
 オーケストラのパリ国立歌劇場管弦楽団は色彩感と明るさに溢れています。
 特に弦楽器の軽さと、管楽器の華やかさはフランスならではのものでしょう。
 また、カルメンといえば版によって大きく変わりますが、この演奏はグランド・オペラ版を採用しています。
 歌と歌の間が、レチタティーボ(叙唱:オーケストラを伴った歌)によって繋がれており、アルコア版のようなセリフによる繋ぎではありません。
 本当は、ほんの一部だけセリフの部分があるのですが、まあ忘れてかまわないぐらいの量です。(2001/4/6)


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