F.v.スッペ 喜歌劇「軽騎兵」序曲

指揮エーリッヒ・クライバー
演奏ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
録音1933年1月28日
カップリングモーツァルト セレナード第13番 他
発売TELDEC
CD番号0927 42664 2


このCDを聴いた感想です。


 クライバーの「軽騎兵」序曲といえば戦前から定評のあった演奏ですが、たしかに聴いてみるとそう言われるのもわかるような気がしました。
 小曲だからといって軽く流してしまわず、しっかりと演奏し、なおかつ堅苦しくも無いのです。
 響きは、オーケストラがベルリン・フィルということもあるのでしょうが、低音に厚めでどっしりと安定しています。一音たりとも手を抜かず全力で弾ききっていて、緊張感は高く、まるで交響曲でも演奏するぐらいの力の入れようです。おまけに、どうやら編成も3管編成でも不思議ではないくらいの大人数のようで、その重厚な音はあまりも豪華すぎて、こういう小曲には本当にもったいないくらいです。
 さらに、力の入れようは細部にまで及んでいます。
 例えばメロディーなんかは、もともと明るく軽快でスピード感があるため、よく横の流れの方が優先されて縦の線は大雑把になりやすいものですが、この演奏では常に縦の線が強く意識されています。メロディーの途中でもそこに出てくる音が何拍目の表か裏かという点がはっきりと区別されていて、伴奏ともども常に決まった位置に揃えてきます。拍を意識してそこに揃えているため、リズムもかなりクリアに表れています。
 それだけ細かい部分まで注意深く合わせて、しかも響きは重厚ですが、音楽は決して重すぎて鈍くなってはいません。
 たしかに軽快とまでは言えませんが、スピードに乗った音でキレがあるため、音楽はテンポ良く進んでいきます。
 厚い響きも、そのままベタッと塗り潰すように押してくるのではなく、拍に沿って強弱のメリハリがしっかりと付いているため、十分に風通しは良いのです。
 さらに嬉しいことに、録音状態はかなり良い方です。
 1930年代前半とは思えないほどで、雑音や音の割れがほとんど無く、細部もしっかりと聞こえてきます。当時のテレフンケン社の技術の優秀さが伺える一枚です。(2007/9/8)


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